微笑む風
「おい、アラン!しっかりしろ!目を覚ませ!アラン!!」
「お客様、落ち着いてください。」
ギルシェの町の病院で、微かに息をしながらベッドに横たわるアランの顔をレオ達は見ていた。病院中にドーマの声が響き渡る。
「アランさん、大丈夫でしょうか……」
ネネカは小さい口を開いて言い、隣に立つレオを見た。ついさっきまで寝ていたかのような目をして立つ彼は黙っていた。
「…………」
「失礼します。」
すると、病室の入り口から一人の白衣の女性が現れ、レオの方へ歩いてきた。
「あなたがこのパーティのリーダーですね?」
「あ、…はい。」
「調べたところ、ガルア・ラウンさんは軽い脳震盪をおこしてしまったようです。命に別状はないですが、回復には時間がかかりそうです。」
三人はその言葉を聞いて安心した。ドーマは静かに目を閉じ、アランの横に置いてあった小さな椅子に座った。
「そうか………ありがとう………」
ドーマはそう言うと、ゆっくりと目を開け、優しい表情でアランの顔を見た。
「なぁ、レオ、ネネカ。アランが起きるまでここにいて良いか?」
「え………まぁ………。でも、僕たちもここにいるよ?」
「いいや、ダメだ。…レオ、ネネカ。アンタ達は秘宝を集めてくれ。少しでも早くこの世界から出るのが、アタシ達の目標…だろ?」
ドーマは、レオとネネカに微笑んで言った。彼女の赤い髪の毛が、窓から入ってくる風でゆれていた。
「………そうですよね。私たちは、死んでしまった仲間の思いも背負っていますからね…。」
「そうだよネネカ、その通りだ。それともう一つ、旅から帰ってきた時には、悲しい報告だけはやめてくれよ。タダでさえ、今のアタシの心は傷だらけだからさ……。」
微笑むドーマに、レオは小さい声で返した。
「それは僕もだ…。皆もそうだと思う。さっきも、アランが死ぬんじゃないかって、…心に穴が開きそうだった。」
「………だよなぁ。……じゃぁ…クエスト、行ってくれるか?」
ドーマが言うと、レオとネネカは頷き、病室を出た。その後、白衣の女性も静かに病室を出て、部屋にドーマとアランを残した。ドーマは誰もいなくなったことを確認すると、アランの額に手を置き、ゆっくりと目を閉じた。目の下から温い何かが静かに頬に流れるのが分かった。
「アラン…………」
レオとネネカは、町の酒場で報酬を受け取ると、共に旅に出てくれる人材を集めるために、ペガサスに乗ってパーニズへと飛び立った。薄い雲が塗られた青空と、冷たい風がどこか気持ちよかった。




