空を飛ぶ女
「誰かぁぁぁっ!!助けてぇぇぇっ!!」
「フフッ…………静かにしていなさい。」
荒廃した神殿の上には、泣き叫ぶ少年を翼で優しく包むハーピーがいた。
「お母さんに会わせてよぉっ!!僕、嫌だよぉぉぉぉっ!!」
「フフッ、まだ黙らない。元気ねぇ…人肉でも食べさせれば落ち着くかしらねぇ………」
ハーピーは、自分の翼の中で泣く少年を優しい顔で見つめた。
「助けてぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」
「………元気な子。本当は十分に育てた後、食べるつもりだったけど…こんなに叫ぶのなら、早いところ黙らせようかしら。」
ハーピーはそう言うと、少年に鋭い目つきと、牙を向けた。
「安心しなさい。もう大声を出さなくてもいいようにするから。」
涙でぬれた少年の顔にハーピーがよだれを垂らしたその時、ハーピーの翼に一本の矢が刺さった。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!だ、誰だぁっ!?」
「その子を返してもらおうか。逆らうのなら、お前の息の根が止まるまで矢を放ってやる。」
ハーピーの視線の先には、弓を構えるドーマと、睨みつけるレオとアランとネネカがいた。
「…んだよ。上半身は女性って聞いたけど、四五十代くらいのオバさんじゃねぇか…しかも、デケェし…」
「アラン……本当に期待してたんだ………」
レオは苦笑いをしながら剣を構えた。
「フンッ!!人間かっ!!貴様らまとめて食ってやるっ!!」
「かかってこい!!人外ババァッ!!」
ハーピーが大きく翼を広げて四人の方へ突進すると、レオ達は横に転がって回避した。
「チィッ…空を飛べても、大きい体は的になることを知れっ!!」
「ネネカ、上の男の子を助けに行って!どこかに階段があるはずだ!!」
レオはネネカに言うと、アランと共に、空を飛ぶハーピーを追いかけ始めた。
「あ…はい!!」
「くっ、子を奪い返す気か!!そうはさせんぞぉぉぉっ!!」
ハーピーは飛ぶ方向を変え、ネネカの方へと突進しはじめた。
「その子供は私のものだぁぁぁぁっ!!」
「させるかっ!!」
ドーマはハーピーに弓を構え、矢を放った。矢はハーピーに吸い込まれるかのように飛び、胴体に刺さった。
「ぎゃぁぁぁっ!!」
ハーピーは血を流しながら落下した。レオとアランは落下して倒れているハーピーに飛び掛かり、攻撃し始めた。
「今だ!”連続斬り”!!」
「”銅の拳”!!喰らえ!!」
レオとアランは、返り血を浴びながらハーピーに攻撃をし続けた。その時、ハーピーがアランの胴体を足で掴み、翼を大きく広げた。
「しまったっ!!」
「許さん……許さんぞムシケラどもぉぉぉぉぉっ!!」
ハーピーはアランを掴みながら飛んだ。
「アラン!!」
「まずいぞ、何をする気だ!?」




