攫われた姿
朝になると、レオ達は宿屋を出て酒場に入った。朝食を済ませ、カウンターの前に立つと、受付嬢が明るい表情で声をかけた。
「いらっしゃいませ、ご用件は何でしょうか?」
「秘宝入手クエストをお願いします。」
すると、受付嬢はカウンターから身を乗り出して、クエストボードから一枚の紙を手に取ってカウンターの上に置いた。
「こちらはどうでしょう?」
四人は一枚の紙を見つめた。
<ギルシェの北にハーピーの巣を発見した。最近、町で子供がハーピーに攫われたという情報が入っているので、討伐と救出を願いたい。秘宝を持っているとの情報も入っている。頼んだぞ。依頼人:ギルシェの一般兵>
「ハーピー…どんな魔物ですか?」
「はい。ハーピーは、頭から胸部が女で、それ以外は全てカラスのような姿の亜人種です。欲しくなった物は全て自分の巣に持ち帰る習性があるので、もしかしたらギルシェの町の子供は巣に連れて行かれたのかもしれません。」
受付嬢は心配した表情で言った。
「女の姿ね………どんな顔だろうな〜…………」
「おいアラン、魔物だぞ。あと、下半身と腕が鳥って、もう人じゃねぇし。」
ドーマはアランの足を踏みながら言った。
「いてぇいてぇいてぇっ!!やめろ!!」
「こちらのクエストでよろしいでしょうか?」
「はい。じゃあ、行こうか。」
レオは受付嬢に頷き、アランとドーマとネネカと共に酒場を出た。
その頃、ダークネスの世界では、水晶玉に人間の姿を映し、一人の男と一人の女がそれを見ながら話していた。
「人間……ライトニングの民やダークネスの民とは違い、謎で包まれている…………」
「フフ、面白いわよね…………協力する者もいれば、そうでない者もいる。まるでライトニングの人みたいですわ。」
「あぁ…………似ているな。あの時と同じだ………だから嫌いなのだ。」
「フフ、これからもっと面白くなってきそう。時がくるまでに準備をしておくよう、あの子に伝えておくわね。」
「……………あぁ。」
「ふぅ…やっぱ景色もいいな〜、この世界。」
レオ達はペガサスに乗ってギルシェに向かって大空を飛んでいた。
「攫われた子供は大丈夫なのでしょうか…………」
「ネネカ、心配しなくてもいいよ。その子のために頑張ろう。」
レオが俯いているネネカに言うと、ネネカは少し顔をあげた。
「……………なぁ、ドーマ…………」
「どうした?アラン。」
ドーマはどこまでも広がる青い海を見つめるアランの顔を見た。
「昨日の夜は………ありがとな…………」
「………………久しぶりに、お前とマトモな話が出来て良かったよ。」
「ふっ、なんだよ、マトモって………」
アランは少しだったがドーマに笑みを見せた。
「みんな、ギルシェが見えてきたよ。」
レオの視線の先には、大きな神殿がある町があった。




