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ティア・イリュージョン  作者: おおまめ だいず
秘宝編
46/206

鮮明のマント

 灰色の空の下で、レオ達は美しい翅を持つ巨大な蝶、スカイクローラーと戦っていた。


「”スクリュー・ストレート”!!」

「”ライズスラッシュ”!!」


 アランは竜巻を纏わせた拳を突き出し、レオは高く舞い上がり下から上へと斬りかかったが、スカイクローラーには当たらなかった。


「チィッ、本当に厄介だな……」

「アラン、空中の敵と戦うのは僕たちにとっては不利だ。ドーマに任せよう。」


 レオが言うと、二人は集中をして狙いを定めるドーマを見た。ドーマは近づいてくる無数のワームを気にすることなく落ち着いた表情で弓を構えている。


「じゃあ俺とお前でドーマの掩護をすればいいんだな?」

「うん、さっきよりもワームの動きが早くなっているから急ごう。」


 レオとアランはドーマの方へ走りだし、ドーマの周りにいるワームに攻撃しはじめた。


「はぁっ!!せいっ!!やぁっ!!」


 レオは剣を振り回し、飛びついてくる複数のワームを斬った。


「お前らまとめてぶっ飛ばしてやる、”スクリュー・スト……」


 アランが拳を構えると、複数のワームがアランの方を見た。


「……………やっぱ、キモくてできねぇぇぇっ!!!」


 ワームがアランの方へ飛び掛かると、レオはそれらのワームを斬り倒し、アランに声をかけた。


「アラン、大丈夫?」

「お前は何で簡単にコイツらを斬れるんだよっ!?意味わかんねぇし!!」

「え、えぇ…………。や、やっぱり、このクエストを受注することが間違ってたかなぁ………」

「大間違いだ!!!」


 すると、多くのワームが移動する方向を変え、レオとアランの方へ向かってくるのが見えた。


「まぁいい、直接触れなければ………」


 アランは小さな声で言うと、真上に高く跳び上がり、右足を突き出した。


「”メガ・クラッシャー”!!!」


 アランが右足で力強く地面を踏んだ途端、周りの地面が揺れだし、二人を囲んでいたワームは空高く打ち上げられ、地面に体を強く打たれて倒れた。


「どうだ!!」

「アラン!!全体攻撃っていうのは良いけど、地面を揺らすとドーマの邪魔になるよ!!今はメガ・クラッシャー禁止!!」

「嘘だろおい………」


 その時、ドーマが目を開き、鋭い目つきでスカイクローラーを見た。


「…………!!」


 ドーマはスカイクローラーに素早い矢を放ち、スカイクローラーの翅を貫いた。一枚の翅に大きな穴をあけられたスカイクローラーが地面に叩き付けられると、レオとアランはすぐにスカイクローラーの方へ走りだし、攻撃した。


「はぁぁぁぁっ!!!」

「くたばれぇぇぇぇぇっ!!!!」


 二人が攻撃すると、スカイクローラーは首から生えた無数の触手を二人に伸ばした。


「アラン!!僕は触手を斬るから、君は攻撃を続けて!!」


 レオは伸びる無数の触手を斬り落とし、アランは両腕に銅を纏わせ攻撃を繰り返した。そして、アランは右の拳を後ろに構え、低い姿勢になった。


「最後だ!!”スクリュー・ストレート”!!!」


 アランが拳を突き出し、竜巻を放った途端、スカイクローラーは粉々になり、秘宝の 鮮明のマント を残してワームと共に姿を消した。


「………よし、秘宝ゲット。アラン、ドーマ、ネネカを連れてパーニズへ戻ろう。」

「「二度とこんなクエストを受注するなよ!!!」」


 アランとドーマはレオに怒鳴った。



「いやぁ~、やっぱ温泉はいいなぁ~。」

「そ、そうですね、ドーマさん………」


 空に無数の星が輝く頃、レオ達は白い湯気が立つ温泉に入り、疲れを洗い流していた。


「あの、ドーマさん…肩の傷は大丈夫なんですか?」

「あ、あぁ、これね…大丈夫だろ。そんなことよりネネカ、麻痺は治ったか?」


 ドーマは肩の傷を抑えながら、ネネカを心配そうな目で見た。


「はい。ドーマさんとレオさんとアランさんが病院まで運んでくれたおかげで回復しました。ありがとうございます。」

「そのくらいいいよ。ま、病院まで運んだのは結局レオだったけどな。」


 ドーマは夜空を見上げて言うと、ネネカは顔を少し赤くした。


「おいおい、顔に出てるぞネネカ。やっぱお前はわかりやすいな。」

「そ、そんなこと…ないですよ……」


 ネネカはさらに顔を赤くして鼻の下まで湯に浸かると、それを見たドーマは大きな口をあけて笑った。


「あ、そういえば…さっきレオから聞いたんだけど……本人ちゃんからも聞かせてもらおっかな~?」

「な、何を聞いたんですか?」


 ネネカはドーマの方に顔を向け、目を細くしたドーマを見た。


「この前病院で、レオと何の約束をしたのかなぁ~………」


 ドーマがネネカに顔を近づけると、ネネカはさらに顔を赤くして、ドーマとは反対の方を向いて潜った。


「ちょっとやりすぎたか……………お~い、ネネカ~。出てこ~い。」

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