大地の寄生虫
「いらっしゃいませ、ご用件はなんでしょうか?」
酒場の受付嬢は、カウンター越しにレオ達に声をかけた。
「秘宝入手クエストを受注したいのですが。」
「かしこまりました。皆さんのレベルと優先順位で考えると………こちらはいかがでしょう?」
受付嬢は一枚の紙をカウンターの上においた。
「南ラスカンにキャリオンクローラーが現れた……すみません、キャリオンクローラーってどんな魔物なんですか?」
四人が紙を見つめる中で、レオは受付嬢に質問した。
「はい、キャリオンクローラーは虫系の魔物で、大地の寄生虫と言われるほどの大きいです。…60mほどでしょうか?」
「かなり大きいですね……」
ネネカは少し困った表情を見せた。
「この魔物にはいくつかの注意点があります。まず、キャリオンクローラーの口の周りには無数の触手があり、触手の先には麻痺状態にさせる棘があるので注意してください。そして、キャリオンクローラーは今も成長し続けています。蝶になったらかなり厄介なので、早いうちに討伐することをオススメします。」
「ちょっと待て、蝶になるってことは…………?」
ドーマは何かを察したように苦い顔をした。
「はい、いわゆるイモムシでございます。」
「……60mのイモムシ……触手…………レオ、他のクエストにしようぜ……?」
アランは苦笑いをしてレオの方を見た。
「な、何を言っているんだ…ア、アラン……こ、このクエストをやらないと、ぼ、僕たちは、か、帰れないんだよ……?」
レオは脂汗を出しながら、苦笑い気味で言った。
「あ、忘れていました。キャリオンクローラーには無数の部下がいて、ワームという30㎝ほどのイモムシが」
「もうやめてくれぇぇぇぇぇっ!!!!!!!!」
「もうすぐ着くよ。準備をして。」
レオ達はペガサスに乗って南ラスカンへ向かっている。あと少しで着くところだ。
「レオ、マジで受注しやがったな……」
「おいドーマ、お前は狙撃だから良いが、俺は打撃だぞ。イモムシを触るんだぞ。」
アランはドーマを下に見るようにして言った。
「狙撃も大変なんだよ!!もしも弱点に矢が刺さったら暴れるだろ?想像するだけでもゾッとするんだからな!?」
「俺はその攻撃で出た返り血を浴びるんだからな!?」
アランとドーマは睨み合った。
「文句ばかり言ってんじゃねぇぞアラン!!」
「あぁ!?お前もだろドーマ?」
「アァッ!?」
「アァッ!?」
「アランさん、ドーマさん、着きましたよ。」
アランとドーマが気付いた時には、ペガサスの足は南ラスカンの地についていた。
「え………」
「えぇ…………………」
四人が見た景色は、ビルなどの建物が倒れた灰色の世界だった。
「これ、全部キャリオンクローラーが……」
「まぁ、60mもあれば、こうなるだろう。」
アランはしゃがみこんで瓦礫を触ると、瓦礫の隙間からイモムシが出てきた。
「うわぁぁっ!!!」
「ワームだ!!」
「誰か、た、倒せ!倒せ!!」
「嫌です、嫌です!!」
レオ達が一匹のワームを見て慌てていると、四人に大きな影が覆い被さった。
「……………え…」
四人は顔を上げると、そこには無数の触手と大量の赤い眼を持った、橙色の巨大なイモムシが立っていた。
「……ギ、ギャァァァァァァァァァァァァッ!!!!!!!!!!」
「逃げろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!!!!!」




