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ティア・イリュージョン  作者: おおまめ だいず
秘宝編
42/206

戦いに備えて

 エルドは落ち着いた表情で話し出した。


「それでは、今のダークネスの世界について話しましょう。まず、以前調査に行った時より魔物の力は遥かに上回っています。」

「原因は?」


 リュオンはタバコの煙をはいて言った。


「まだ詳しくは分かりません。ただ、多くの魔物が新たに強い力を手にしたように感じました。」

「新たなる強い力………前まではなかったんだよな?」


 シルバはエルドの紫色の瞳を見て問いかけた。


「はい。この世界に新しい種族、人間が現れてからだと思われます。」

「人間………俺たちのことだよな?」

「うん……………」


 アランとレオは互いに向き合って言った。


「でも、人間が現れただけでダークネスの力が強くなるっていうのは繋がらないと思うけど…」

「人間とダークネスはまだ関わりが少なさそうだしね。」


 ライラはグラスに入った茶を一口飲み、マリスは白衣のポケットに両手を入れた。


「……………そういえば、この前奇妙なことが………」


 シルバが言うと、ココは何かを察したような眼をした。


「エンペラーグリズリーのやつか!」

「エンペラーグリズリーと言えば…………バーノンが死んじまった……な。」


 ドーマが苦い顔をすると、ネネカは何かを思い出した。


「そういえば、遺体はどうなったのですか?……バーノンさん以外の墓には遺骨がありますが………」

「お、良いとこ気づいた。ソイツの遺体もそうだが、近くにいた熊ちゃんの内臓も綺麗さっぱり無くなってたぞ。」


 シルバはネネカに向かって指を鳴らした。


「え?僕らが行く前にエンペラーグリズリーは誰かに討伐されてたんですか?」


 レオはギルドの皆に問いかけた。


「そう。だからあの時、エンペラーグリズリーの子供が大量発生して、緊急クエストを出したんだ。」

「そうだったのか、ココ……エルドさん、他に情報はありますか?」


 ドーマはエルドの方を見た。


「他ですか………………」

「フッ、そんなもんか。情報量が少なすぎるぞエルド。」


 リュオンはゾロマスク越しにエルドを睨んだ。


「申し訳ございません。今言えることは、あちらの世界も早いペースで力を強めているということです。」

「ちょっと待てよ。まだ光の階段は闇の渦まで届いてないぞ。なんでダークネスの世界に行けたんだ?俺達にも、あっちの世界へ行く方法を教えてくれよ。」


 アランはエルドに問いかけるが、エルドは横に首を振った。


「残念ながら、それは無理です。今のあなた達にダークネスの世界に行く方法を教えると、命の保証はありませんからね。」

「………そんなに強いのか?ダークネスの奴らは…………」


 オーグルは表情を曇らせた。


「まぁ、決戦の時までに強くなればいい。」


 シルバが言うと、レオ達はうなずき、ギルドの皆と別れた。




「決戦の時までに……か。じゃあ俺、コルトとスフィルのところに行くぞ。いろいろと、ありがとう。」


 オーグルは病院のほうへ歩いて行った。


「なぁレオ、そろそろ装備を変えた方がいいんじゃねぇか?」

「うん。そうだね、ドーマ。じゃあ武具屋に行こうか。」


 レオが言うと、四人は商店街へ向かった。




「ヘイらっしゃいっ!!」

「今日も良い品揃ってるよ!!」

「おぉ、そこのにいちゃん!寄っといで!!」


 パーニズの商店街は、いつもと変わらず賑やかだ。レオ達は人々をかき分け、武具屋へ向かった。


「お、来たか!今日こそお前たちにとって良い装備を取り寄せたぞ!!」


 武具屋がカウンターから身を乗り出して、レオ達に声をかけた。


「マジ!?何がある?」


 アランはワクワクした表情を武具屋の男に見せている。


「おぉ、聞いて驚くなよ……ジャーン!鉄の鎧一式と、スパイクジャケット一式と、黒猫のコート一式と、白翼のローブ一式だ!!すごいだろ?」

「僕たちのために取り寄せてくれたんですか?」


 レオは四つの装備と、ニヤニヤしている武具屋の顔を見て言った。


「おう、当たり前だぁっ!!買ってくれるか?」

「はい、もちろん。」


 レオ達は四つの装備を購入し、装着した。


「おっと、武器も忘れるなよ。鉄の剣と、鉄のガントレットと、鉄の十字架。お前たちにおすすめの品はこれかな。買ってくれるか?」

「はい、買います。」


 レオとアランとネネカは、それぞれの武器を購入し、装着した。


「おい、アタシには無いのかよ。」

「ごめんな、ねぇちゃん。代わりに、矢を無料で30本あげるからさ……」


 武具屋の男は後ろに置いてある大きなタルから、矢を30本取り出し、ドーマに渡した。


「ありがとう!やっぱ優しいな、おっちゃん!!」

「おう!次来た時にはもっと良い物取り寄せるからな!」


 レオとアランとドーマは酒場へ向かって歩き始めると、ネネカは「ありがとうございました。」と小さな声で言い、深く頭を下げ、三人を追いかけた。

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