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ティア・イリュージョン  作者: おおまめ だいず
秘宝編
41/206

帰還

「あとは、これをくっつけて…と。」


 マリスは作った義手をオーグルの右腕に装着し、義手の腕の部分から出たワイヤーをオーグルの背中につけた。ワイヤーの先には吸盤のようなものが付いている。


「あの……このワイヤーと吸盤って、つける意味あるんですか?」


 オーグルは装着した義手を見つめて言った。


「もちろんあるよ!背骨には神経が通っているでしょ?」

「中枢神経ってやつだな。」


 ドーマは腕を組んで、オーグルの義手を見つめた。


「そう、中枢神経!そして、このワイヤーと吸盤を背中につければ、脳から出た情報をすぐに義手に伝えることができるの。指が思い通りに動くよ。やってみて!」


 マリスが言うと、オーグルは義手を見つめながら指を動かした。


「本当だ……思った通りに動く………あ、ありがとうございます。」

「へへ、こんなの楽勝だよ!」


 マリスは人差し指で鼻の下をこすった。


「すっげぇ…」

「本当の腕みたいですね。」

「オーグルさん、よかったですね。」


 アランとレオとネネカが義手を見つめながら言ったその時、ギルド小屋の扉が開いた。


「ただいま戻りました。」


 入口に立っていたのは、落ち着いた顔をしたエルドだった。


「お、じっちゃん!」


 シルバはエルドの方を見て片手をあげた。


「エルドじぃ!大丈夫?ケガとかしてない?」

「クレアさん、心配はいりません。ありがとうございます。そんなことより、留守番のほうはどうでした?」


 エルドはカウンターの方へ歩きはじめた。


「あぁ、客が来てるぞ。」


 リュオンがタバコの煙をはきながら言うと、レオ達はエルドに向かって軽く頭を下げた。


「これはこれは。ごゆっくりどうぞ。」


 エルドは五人に優しい笑顔を見せると、ワイングラスを拭きはじめた。


「そういえば、お前らレベルはどんな感じだ?」


 ココは五人の方を向いた。


「僕は…20です。」

「俺は21だ。」

「アタシは22。」

「私は20です。」

「お前ら高いな…俺は16だ。」


 五人が言うと、エルドは手を止めてレオ達の方を見た。


「そうですか。以前ドーマさんには言いましたが、レベルが20上がるごとに、通常職は職業名が変わるんですよ。」

「そうなの?ドーマ。」


 レオはドーマの目を見て問いかけた。


「わるいわるい、言い忘れてた。アタシ、アーチャーからガンナーに変わったんだ。」

「おい、レオ。この前俺ボクサーになったって言ったろ。」


 アランの言葉にレオは首を傾げた。


「えっとぉ…………いつ?」

「おいっ!!」

「そうですねぇ…レオさんは戦士から騎士に、アランさんは武闘家からボクサーに、ネネカさんは僧侶からプリーストに変わります。名前が変わるだけであって、能力が変わったり、リセットされるわけではないのでご安心ください。」


 エルドはワイングラスを後ろの棚に置き、皿を拭きはじめた。


「おいエルド。いつまで待たせる気だ?お前まさか、わざわざ外に出たのに情報なしってことはねぇだろうな?」


 リュオンはタバコを吸いながらエルドを睨んだ。


「ちょ、リュオンさん…そんな言い方ないでしょう?」

「ライラさん、止めなくて結構ですよ。…リュオンさん、お客様がいるのですよ。おもてなしが最優先です。」


 エルドは手を止め、目を閉じた。


「フッ、おもてなしだと?じゃあなんだ?貴様が外に出たのは、ただの旅行程度だったのか?」


 リュオンは内ポケットから黄金のハンドガンを取り出し、エルドの額に銃口を向けた。


「おいリュオン!」

「リュオン!!今あなたが何してるのか分かってるの!?」


 ココとクレアはリュオンに叫んだ。レオ達はリュオンに怯えている。


「あの、エルドさんはどこへ行ってたのですか?」


 レオは目を閉じているエルドを見て言った。


「あぁ、こいつはダークネスに行ってたんだ。…さぁ、話してもらおうか。俺が欲しいのは奴らの情報だ。それでも客を優先するのなら、貴様を無能野郎と見てトリガーを引く。」

「おいリュオン!!いい加減にしろよ!!」


 ライラがリュオンの横に立つと、リュオンはライラに銃口を向けた。


「おっと、このギルドは何のためにあるか……忘れたのか?ダークネスの奴らを排除するためにあるんだろう?そんなことに客への心はいらねぇ。それともライラ、貴様も無能野郎と見られたいと?………死にたいのか?」


 すると、エルドはゆっくりと口を開いた。


「分かりました。リュオンさん、銃口をこちらに向けなさい。」


 リュオンは無言でエルドの額に銃口を向けた。


「みなさんに、あちらの世界について言いましょう。しかしリュオンさん、その銃の一発で私を殺せると思ったらの話ですがね。」

「フッ…そうか。」


 リュオンは銃を内ポケットにしまった。


「エルド、なにも話さなくていいぞ。」

「……………いいえ、やはり……話しましょう。」


 エルドは目を開いた。

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