夢を掴むために
「……………」
「エルア………」
月がやさしく照らす頃、レオ達は教会の裏でエルアの墓を見つめていた。スフィルはオーグルを病院に送って戻ってきたところだ。
「みんな……ごめん………一緒にクエストを受けようって言った僕のせいだ。僕のせいで…………」
コルトは下を向いて涙を流しながら言った。
「やめろよコルト……お前のせいで死んだわけじゃない。」
ドーマはコルトの肩に手を置いた。
「コルト、この世界で人が死ぬっていうのは珍しいことじゃない。もう九人は死んでるんだぞ……」
「スフィルさんの言うとおりです。明日も誰かを失うかもしれない……そんな世界なんです。」
ネネカは涙を堪えながら言った。
「……………ありがとう。」
夜が明け、日が昇ると、レオ達はオーグルの様子を見に、病院へ向かった。
「おはようございます、どうされましたか?」
病院の受付人は明るい顔を見せたが、対してレオ達の表情はどこか沈んでいる。
「オーグルの部屋に案内していただけますか……?」
「はい、ご案内します。」
受付人は部屋に向かって歩きだしたので、レオ達は後に続き、廊下を歩いた。
「入るぞ…」
アランは部屋の扉を開けた。ベッドの上には、包帯の巻かれた右腕に左手を置いたオーグルが座っていた。右手は無い。
「どう?オーグル……」
「……………」
「気分はどうだ…………?」
「……………………」
レオとアランが声をかけるが、オーグルは黙ったままだ。
「………エルアは、どうなったんだ………………?」
オーグルは下を向きながら口を開いた。
「エルアは……………死んだ………………」
コルトは小さい声で言った。
「………そうか。」
オーグルは、窓に映る青い空を見た。
「エルアの分も……がんばらねぇとな…………」
「………………オーグル…ごめん、僕のせいで君の右手は…」
コルトはオーグルの清々しい顔を見て言った。
「コルト、いいんだ……あの状況で生き残れただけでも、俺は幸せだ。……かなり痛かったけどな。」
オーグルはコルトの方を見て、右腕をなでた。
「あの、みなさん……」
ネネカはコルトとオーグルの間に入った。
「パーニズ・ギルダーズに頼めば、なんとかなるかもしれません…」
「なんとかって……?」
レオはネネカに問いかけた。
「…オーグルさんの右手です。」
レオ達は、コルトとスフィルと別れ、オーグルを連れてギルド小屋へ入った。
「おじゃまします……」
「じっちゃ………なんだ、お前らかぁ………」
中には、カウンター席に座り、膝にココを乗せたシルバと、隣に座っているライラと、タバコを吸っているリュオンと、楽器の手入れをしているクレアと、奥で機械を弄っているマリスがいた。
「今のはさすがに期待したね。」
マリスは手を止めてレオ達の方を見た。
「何の用だ?」
「ちょっと、そんな言い方ないじゃん。どうかしたの?」
クレアはタバコの煙をはくリュオンを睨み、レオ達に問いかけた。
「はい、昨日レイドクエストに出たら、友達が右手を失って……」
ドーマはオーグルの右腕を見つめながら言った。
「おっと……それは大変だなぁ………」
シルバはグラスに入った茶を飲んだ。
「……かなり痛かったでしょう……」
ライラが心配そうな表情を見せると、ココはシルバの膝から降りた。
「それなら、奥にいるマリスがなんとかしてくれるぞ!な、マリス。」
「義手でしょ?簡単簡単!サイズとか調べたいから、こっちにおいでよ!」
マリスが手招きすると、レオ達は奥に行った。
「どれどれ……この場合は…前腕義手……素材はガラディゼル合金かな。」
「できそうですか?」
オーグルはマリスの瞳を見て言った。
「大丈夫。でも、金属の部分はむき出しになるけど…それでいい?」
「あ、はい、大丈夫です。ありがとうございます。」
オーグルは軽く頭を下げた。




