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ティア・イリュージョン  作者: おおまめ だいず
秘宝編
40/206

夢を掴むために

「……………」

「エルア………」


 月がやさしく照らす頃、レオ達は教会の裏でエルアの墓を見つめていた。スフィルはオーグルを病院に送って戻ってきたところだ。


「みんな……ごめん………一緒にクエストを受けようって言った僕のせいだ。僕のせいで…………」


 コルトは下を向いて涙を流しながら言った。


「やめろよコルト……お前のせいで死んだわけじゃない。」


 ドーマはコルトの肩に手を置いた。


「コルト、この世界で人が死ぬっていうのは珍しいことじゃない。もう九人は死んでるんだぞ……」

「スフィルさんの言うとおりです。明日も誰かを失うかもしれない……そんな世界なんです。」


 ネネカは涙を堪えながら言った。


「……………ありがとう。」




 夜が明け、日が昇ると、レオ達はオーグルの様子を見に、病院へ向かった。


「おはようございます、どうされましたか?」


 病院の受付人は明るい顔を見せたが、対してレオ達の表情はどこか沈んでいる。


「オーグルの部屋に案内していただけますか……?」

「はい、ご案内します。」


 受付人は部屋に向かって歩きだしたので、レオ達は後に続き、廊下を歩いた。



「入るぞ…」


 アランは部屋の扉を開けた。ベッドの上には、包帯の巻かれた右腕に左手を置いたオーグルが座っていた。右手は無い。


「どう?オーグル……」

「……………」

「気分はどうだ…………?」

「……………………」


 レオとアランが声をかけるが、オーグルは黙ったままだ。


「………エルアは、どうなったんだ………………?」


 オーグルは下を向きながら口を開いた。


「エルアは……………死んだ………………」


 コルトは小さい声で言った。


「………そうか。」


 オーグルは、窓に映る青い空を見た。


「エルアの分も……がんばらねぇとな…………」

「………………オーグル…ごめん、僕のせいで君の右手は…」


 コルトはオーグルの清々しい顔を見て言った。


「コルト、いいんだ……あの状況で生き残れただけでも、俺は幸せだ。……かなり痛かったけどな。」


 オーグルはコルトの方を見て、右腕をなでた。


「あの、みなさん……」


 ネネカはコルトとオーグルの間に入った。


「パーニズ・ギルダーズに頼めば、なんとかなるかもしれません…」

「なんとかって……?」


 レオはネネカに問いかけた。


「…オーグルさんの右手です。」




 レオ達は、コルトとスフィルと別れ、オーグルを連れてギルド小屋へ入った。


「おじゃまします……」

「じっちゃ………なんだ、お前らかぁ………」


 中には、カウンター席に座り、膝にココを乗せたシルバと、隣に座っているライラと、タバコを吸っているリュオンと、楽器の手入れをしているクレアと、奥で機械を弄っているマリスがいた。


「今のはさすがに期待したね。」


 マリスは手を止めてレオ達の方を見た。


「何の用だ?」

「ちょっと、そんな言い方ないじゃん。どうかしたの?」


 クレアはタバコの煙をはくリュオンを睨み、レオ達に問いかけた。


「はい、昨日レイドクエストに出たら、友達が右手を失って……」


 ドーマはオーグルの右腕を見つめながら言った。


「おっと……それは大変だなぁ………」


 シルバはグラスに入った茶を飲んだ。


「……かなり痛かったでしょう……」


 ライラが心配そうな表情を見せると、ココはシルバの膝から降りた。


「それなら、奥にいるマリスがなんとかしてくれるぞ!な、マリス。」

「義手でしょ?簡単簡単!サイズとか調べたいから、こっちにおいでよ!」


 マリスが手招きすると、レオ達は奥に行った。


「どれどれ……この場合は…前腕義手……素材はガラディゼル合金かな。」

「できそうですか?」


 オーグルはマリスの瞳を見て言った。


「大丈夫。でも、金属の部分はむき出しになるけど…それでいい?」

「あ、はい、大丈夫です。ありがとうございます。」


 オーグルは軽く頭を下げた。

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