初陣
「よし、では次に、魔物との戦闘について話す。」
エレナスに言われ、レオ達は町の外に出た。外には、先程見た30cmくらいのハムスターが二十匹ほどいる。すると、エレナスが、ハムスターを背に口を開いた。
「よし、よく聞け。あそこに見えるのは、獣類の中で最も弱い魔物、デカハムだ。今回はあのデカハムで練習するからな。」
エレナスがそう言うと、手に持っていた長く大きな袋から銅の剣を出し、生徒に渡した。
「うぉっ!?……けっ……剣っ!?」
「な、なんすか急にっ!!」
「今からお前達には、あのデカハムと戦ってもらう。」
すると、エレナスとレオの目が合った。エレナスはレオに近寄り、彼の耳元で囁いた。
「お前、やってみるか?」
「……は、はい…。」
レオは彼の圧に負け、断れなかった。周りから熱い視線がくる。レオは剣を握り締め、デカハムを目掛けて走った。
「はあああぁっっ!!!」
思いっきり剣を振り下ろした。
デカハムに4ダメージ! HP6/10 MP3/3 SP5/5
「よし、今デカハムは4ダメージ受け、HPが6になった。」
「兵長さん、HPとは?」
「ああ、簡単に言うと体力みたいなもんだ。」
デカハムの‟二連打パンチ‟!!レオは5ダメージ受けた。
「ウッッ!!ガハッ!!」
レオは目を大きく開き、腹を押さえて怯んだ。HP5/10 MP5/5 SP2/2
「兵長!このままじゃレオが!!」
「心配ない、ただ相手の特技を受けただけだ。ちなみに、MPは魔法を、SPは特技を使用することで消費される。」
レオの攻撃! 会心が発動!!!デカハムに15ダメージ!!!デカハムは倒れた。
「バトル終了、お疲れ。」
「エレナスさん、最後のは何だったんですか?」
「ああ、あれは会心と言ってな、1%しかでないが相手に大ダメージをあたえる攻撃のことだ。」
するとエレナスは生徒の中心に立ち、大きい声で話し始めた。
「よし。これで戦闘の実習は終了だ。最後に、先ほどMPとSPの話をしたが、これから強くなるにつれ、お前達は魔法と特技を覚える。もし使う時が来たら、その技の名を心に沈めて声に出せ。そうすれば、技が己を導いてくれる。覚えておけ。さあ、今日は町でゆっくり休め。お疲れ。」
レオ達は町に入り、それぞれ別れた。レオはアランと共に酒場に入った。レオとアランは木で作られた4人席のテーブルに座った。
「おいレオ、お前凄いな!あの状況でよく頑張ったぞ。」
「そうでもないよ、ほら、皆応援してくれたし。…あ、そうだ、僕Lv2に上がったんだ。」
「あ〜ぁ、いいよな。そんなんだったら俺を選んでくれれば楽勝だったんだけどな。」
「みんなの前でカッコつけたかっただけじゃないの?」
「っ…んなわけねぇだろっ!!それより飯だ飯!!すんませ〜んっ。」
そういってアランは近くのテーブルで接客を済ませたばかりの女性店員を呼んだ。彼女は笑顔で振り向き、メモを持って2人の前に立った。
「いらっしゃいませ、ご注文をどうぞ。」
レオとアランは、テーブルの上に置かれた紙を見つめた。
デカハムのハンバーグ定食・・・10セリア
トロンコッカーの玉子かけご飯・・・50セリア
コーロチーズフォンデュ・・・75セリア
ラピス牛の牛丼・・・100セリア
ポイズングロリアスのステーキ・・・750セリア
「んー、僕はトロンコッカーの玉子かけご飯かな。」
「んじゃ俺はラピス牛の牛丼だ。」
「かしこまりました。少々お待ちください。」
女性店員は軽く頭を下げ、厨房へと歩いて行った。するとアランはテーブルに肘を置いてレオに囁き始めた。
「なあ、今の店員………綺麗だったよなぁ?」
「う、う、うん…。そう…だね。」(そういうとこ、変わらないな…アランは…)
その時、後ろからネネカの声が聞こえた。
「あの…ここ、良いですか?……他が…満席で…」
「あ、良いよ。座って。」
レオが言うと、ネネカは赤くなった顔を少し下げて、ゆっくりとレオの隣に座った。
「んじゃ、アタシもいいかな?」
ドーマがアランの隣に50cmくらいの間をあけて座った。2人は仲が悪く、顔を合わせるといつも口喧嘩が始まる。すると、先程の店員がレオとアランが注文した料理を持って来た。
「お待たせしました。あ、いらっしゃいませ。」
「アタシは、チーズのヤツで。」
「私は…、ハンバーグ定食で…お願いします。」
「かしこまりました。少々お待ちください。」
ドーマとネネカが注文すると、店員は笑顔で頭を下げて厨房へと歩いて行った。
「なあ、オメェら、パーティはどうするんだ?」
アランがテーブルに肘をのせて言った。レオは数回瞬きをすると、3人の顔を見て口を開いた。
「あぁ、チーム的なやつでしょ?僕はこの4人で良いと思うけど。」
「あ〜…そうか?アタシは反対だね。」
「どうして?」
「コイツが嫌なんだよ。こんな出しゃばり野郎がいたら命が何個あっても足りねぇぞぉ。」
そう言ってアランを親指でさして睨んだ。
「あぁ?お前ちょっと外出ろ。」
「まあまあ、落ち着いて。ネネカはどう思う?」
「わ、私は…賛成です。」
「……おいおい…ネネカにそんなこと言われると…なぁ。」
「じゃあ決まり!よろしくねっ!」
レオのパーティが決まった。
レオ Lv2 HP12/12 MP7/7 SP4/4
アラン Lv1 HP10/10 MP5/5 SP2/2
ドーマ Lv1 HP 8/ 8 MP7/7 SP3/3
ネネカ Lv1 HP 8/8 MP7/7 SP3/3