魚鬼の耳飾り
「来るぞ!!総攻撃だ!!」
「あたれっ!!」
「”ロッサム”!!」
「オラオラオラァッ!!」
高く飛び跳ねたオーガムベンガに向かってドーマは矢を放ち、コルトは森属性の魔法を唱え、スフィルはマシンガンを連射した。
「アラン!オーグル!エルア!ボートに掴まって!!」
レオが言ったその時、オーガムベンガは大きな波と音を出して、海に入った。
「くっ!!なんてヤツだ……」
「大丈夫か!?お前ら!!」
ドーマは大きな波に飲み込まれそうな四人に言った。
「だ、大丈夫だ…クソ、ボートがひっくり返ったらヤツに丸飲みにされちまうぞ……」
オーグルはボートを必死になって掴みながら呟いた。
「たぶん、あの攻撃では全然ダメージを喰らってないだろう……みんな、次のチャンスに備えて!!」
コルトが皆に呼びかけると、ドーマはすぐに背中の矢筒から矢を取り出し、スフィルはマガジンを取り替えた。
「まさかこんなにデカいとは思いませんでした……早く弱点を探さないと……」
ネネカが言うと、再びオーガムベンガは大量の水しぶきと共に高く飛び跳ねた。
「来たぞ!!”スクリュー・ストレート”!!」
「”フレア”!!」
「いっけぇぇぇぇぇぇっ!!!」
オーガムベンガに向かってアランは風を纏った拳を突き出し、コルトは火属性の魔法を唱え、エルアはブーメランを投げた。しかし、オーガムベンガにはアランとエルアの攻撃はあたらなかった。
「アラン!オーグル!エルア!気をつけて!!」
レオは三人に言うと、アランとオーグルはボートに掴まった。エルアは自分が投げたブーメランを回収するのに夢中で、ボートに掴まらず、立ったままだった。
「おい、エルア!!波が来るぞ!!」
「でも、ブーメランが!!」
その時、オーガムベンガは大きな波と音を出して、海に入った。エルアのボートは転覆し、エルアは海に落ちた。
「エルアさん!!」
「あのバカ…!!早く上がってこい!!」
ドーマが大きい声で言ったその時、転覆したボートの下が血の色に染まりはじめた。
「嘘だろ……」
「おいおいおいおいおいおい!!!」
「エルアァァァァァァッ!!!」
すると、口を赤く染めたオーガムベンガが高く飛び跳ねた。
「クソッタレ……クソッタレがぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
大きく口を開けたオーガムベンガに向かって、オーグルは槍を突き出した。
「オーグルやめろ!!危険すぎる!!」
「うるせぇレオ!!くたばれぇぇぇぇぇぇっ!!!!」
大きく口を開けたオーガムベンガはオーグルの槍と腕に齧り付き、オーグルと共に海に入った。
「オーグル!!」
「オーグルさん!!」
「バカ野郎!!」
アランは海に飛び込もうとした。
「アラン、ダメだ!!君も食べられてしまう!!」
(くっ…離せっ!!)
海の中では、腕を咬まれたオーグルがオーガムベンガの顎を何度も蹴っていた。
(こ、このままでは……息が………!!)
オーグルはオーガムベンガの歯の部分に左手と両足を置き、右腕を引きちぎりはじめた。
(ぐぁぁぁぁぁぁっ!!!離れろぉぉぉっ!!!!!)
オーグルの腕からは骨が外れた音が鳴り、牙で貫かれた右腕からは大量の血が出はじめ、周辺が赤くなった。
(あぁぁぁっ!!腕が!!!…息がぁっ………!!!!)
その時、オーグルの右腕の皮膚がちぎれ、赤い肉が見えはじめた。
(いってぇぇぇっ!!!……あと…あと少しだ………!!!)
オーグルの右手には、もう感覚がない。ただひたすら、自分の右腕を引きちぎることだけで精一杯だった。
(うぐっ……!!!うぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!!)
その時、オーグルの右腕はブチブチと音をたてて ちぎれた。
(あぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!腕がぁぁぁぁっ!!!!!!)
痛みに耐えきれず、オーグルは気絶し、海上に浮き上がった。
「オーグル!!」
浮き上がってきたオーグルを見つけたレオは、急いでボートを漕ぎ始めた。
「オーグル!!大丈夫!?」
レオが、オーグルをボートに引き上げようとしたその時、オーガムベンガが大きい口を開けてレオの方へ泳いできた。
「レオ!!危ない!!」
「レオさん!!」
レオは剣を構えて上に振ると、オーガムベンガの硬口蓋に刺さったオーグルの槍にあたり、オーガムベンガは怯んだ。
「…な、なんだ?」
「おいレオ!!早くオーグルをこっちに!!」
陸からドーマが大きな声を出して言った。レオは急いでオーグルをボートに引き上げ、ドーマ達がいる陸に向かった。
「オーガムベンガが怯んだ……弱点は口の中か…?」
アランは海に潜るオーガムベンガを見つめた。
「オーグル!!しっかり!!」
「しっかりしろ!!!」
コルトとスフィルは、オーグルの肩を揺さぶった。
「ネネカ、回復魔法を。」
「は、はい、レオさん。で、でも右腕はもう治らないと思いますが……」
「ネネカ、今は回復が最優先だ。」
ドーマはネネカの背中に手を置いた。
「はい。……”レッシュ”。」
ネネカはオーグルに回復魔法を唱えると、オーグルの右腕の出血が止まった。
「これでなんとか……」
その時、大きな音をたててオーガムベンガが飛び出した。狙いはアランだ。
「アラン!!避けろ!!」
「アランさん!!」
すると、アランは腰を低くし、拳に銅を纏わせて構えた。
「………そこだ!!”スクリュー・ストレート”!!」
アランは右の拳を突き出すと、銅の拳はオーグルの槍にあたり、オーガムベンガの頭を貫いた。オーガムベンガは秘宝を吐き出して、海の底へと沈んだ。
「や、やったのか……?」
「……ア、アラン………」
レオ達は、ボートの上に立つアランを見つめた。
「…………倒したぞ…お前ら……」
アランの手には、オーガムベンガが吐き出した秘宝、魚鬼の耳飾り が握られていた。




