光を求めて
「…………………また、馬鹿な真似を……」
エルドがダークネスの世界を一人で歩いている。
「……悔しいですが、どこか懐かしい気分ですよ。」
『ガルルルルルッ……』
『グァウウウウウ……』
エルドの前に大きな魔物が数えきれないほど現れた。
「…………どうやら、相手を間違えてしまったようですね。気の毒ですが、ここで消えてもらいますよ。」
エルドは左手の手袋を外し、腰から禍々しい色をしたナイフを取り出した。
「私と魔王の関係、忘れました?」
「お~い、レオ~!アラ~ン!ドーマ~!ネネカ~!」
「おぉ、デンテ。どうしたの?」
デンテが四人のところに走ってきた。
「昨日は悪かった。俺、今から…」
「もういいよ。この世界から出るために、少しでも協力してくれるだけで十分だ。」
ドーマがデンテの肩に手をおいた。
「んで、今から何すんだ?」
アランが腕を組んで言った。
「あぁ、そのことなんだけど……俺、本当は死ぬのが怖くて、外に出たくないんだ……」
「死ぬのが怖いのは、私も一緒ですよ。」
ネネカは優しい顔を見せている。
「俺、料理つくるの得意じゃん…ちょっとでも協力したいから、サブ職のクッカーになって、酒場で働こうかなって……いいかな?」
「いいんじゃないかな。……うれしいよ。ありがとう。」
レオが言うと、デンテは笑顔を見せた。
「じゃあ俺、パーニズ相談事務所に行ってくるよ。」
四人はデンテと別れた。
「よし、俺たちはクエストを受けに行くか。」
「そうだね。じゃあ、秘宝持ちの魔物を中心にクエストを受注しよう。」
四人は酒場へ向かった。
「いらしゃいませ、今日も多くのクエストが届いてますよ!」
「秘宝持ちの魔物の討伐クエストはありますか?」
レオが言うと、酒場の受付嬢は、一枚の紙を出した。
「それなら、このクエストがオススメです。」
紙には、『ブランカに秘宝持ちのキャスパリーグが現れた。半年後にはこの国で武闘大会が開かれるから、早いうちに討伐を頼む。』と書いてあった。
「すみません、ブランカってどこか、教えてもらえませんか?」
レオが、カウンターに地図を広げた。
「はい。ブランカは……ここです。」
受付嬢が、南東の緑色の大陸に指をさした。
「地図を見て分かると思いますが、ブランカは草木がものすごくて、過去に迷子になった冒険者もいます。」
「ジャングルってわけか………」
四人は地図を見つめている。
「ちなみに、キャスパリーグは猫のような見た目をした、小型の獣系の魔物です。」
「猫かぁ………それって………かわいい……?」
ドーマが受付嬢の目を見つめた。
「か、かわいいですよ……とても……」
「とてもですか!?」
ネネカも受付嬢の目を見つめた。
「は、はい……ですが気をつけてください。キャスパリーグはとても早くて、意外に凶暴です。」
「凶暴……それ、ツンデレとかでは……?」
ドーマがカウンターに身を乗り出すと、アランはドーマの縛った赤い髪を掴み、外に出ようとした。
「いてぇって!!やめろ!!アラン!!はなせよっ!!」
「そんな猫情報どうでもいいだろ。魔物は魔物だ。行くぞ、お前ら。」
四人は酒場を出た。




