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ティア・イリュージョン  作者: おおまめ だいず
秘宝編
31/206

絆の建築家

「この木材はそっちにやって!君たちは丸石をたくさん持ってくるんだ!」


 パーニズの酒場の横では、クラフターとなったレオの指示のもと、多くの人が温泉づくりに取り掛かっていた。


「おーい、レオー!赤い布と青い布持ってきたぞー!」


 ドーマが商店街から走ってきた。


「ありがとう!スフィルとエルアは、木材をもっと持ってきて!」

「了解!」

「お、やってるやってる。」


 シルバとココが歩いてきた。シルバの手には、巻かれた大きな紙が握られていた。


「あ、シルバさん!何持ってるんです?」


 レオは視線をシルバの手のほうにやった。


「おぉ、これか。」

「エルドに頼まれて持ってきたんだけど、温泉の詳しい設計図らしい。参考にしてくれってさ!」


 ココがシルバの持っている設計図を咥えて取り上げると、地面に置き、ひろげた。


「す、すごい……これをエルドさんが……」


 レオは設計図を見て驚いた。


「じっちゃん、昔はいろんなサブ職やってて、聞いた話によると、全部マスターしたらしい。」

「全部!?」


 レオは固まった。


「んじゃ、俺は小屋に戻るからな。後はがんばれ。」

「オイラは残って手伝うぞ!」


 ココがそう言うと、若い頃のエルドに変身し、作業に加わった。




 数時間経っても、レオは設計図を頼りに皆に指示を出している。


「すげーな。ココが加わっただけでも、さっきまでのスピードとは、まるで違う。」


 ドーマがレオのほうに寄ってきた。


「そうだね。じゃあ、ドーマはネネカと一緒に、布に温泉のマークでも書いてよ。」

「いいのか?そんな簡単な作業で…」


 その時、男がレオのほうに歩いてきた。


「ッ……変なヤツらだなぁ、お前らは。………あきれたぜ……」

「何しに来た、アラン。」


 レオとドーマの視線の先には、鋭い眼をしたアランがいた。


「この世界から出るより、そっちのほうが大事か?……フッ、笑わせんな!!」


 アランが両腕を銅の色に変えて構えた。


「やめろアラン!!なんかお前おかしいぞ!!」

「黙れドーマ!!お前らのその腐った脳ミソ、叩きなおしてやるよ。」


 アランは地面を強く蹴り、レオに飛び掛かった。


「なっ!!」


 レオが慌てて剣を抜くと、アランの拳と交わり、大きな音をたてた。


「アラン…君こそ、脳ミソ腐ってるぞ……」

「うるせぇぇぇっ!!」


 アランはレオの顎を膝で蹴り飛ばし、頬を殴った。


「ぐぁぁぁぁっ!!!」


 レオは強く地面に叩きつけられた。アランはレオの頭を重い右手で掴み、何度も地面に叩きつけた。


「この世界から出るために、お前なんかいらない!!」

「いい加減にしろ!!」


 ドーマがアランの顔面を蹴り飛ばした。


「ぐふぅっ!!」


 アランは仰向けの状態で倒れた。


「アンタ、レオが何のためにやってるか、知らないだろ……」

「……ぅぐっっ………な、なんだテメェ……いてぇじゃねぇか………」


 アランが鼻から出た血を親指で払うと、地面を強く蹴り、ドーマに飛び掛かった。


「お前もレオみたいにしてやる!!」


 アランが殴ると、ドーマは拳を左に流し、腹部に膝蹴りを放った。


「がはぁぁっ!!」

 アランは倒れた。


「強くなるために、一人になったんだろ?それで、これか……出直してきな。」

「…ぅう……かぁっ!!コイ…ツ……マジ…かよ……」


 アランがゆっくり立ち上がった。


「ぅぅぐぁっ!……チィッ……まぁいい…勝手にするがいい……」


 アランはヨロヨロと歩き始めると、並べられた丸石を銅の拳で殴り飛ばした。


「おい!!」

「悪いな、手が滑った。」


 アランはパーニズの門をくぐり、外へ出た。倒れたレオのまわりには、作業の手を止めた生徒たちが、棒のように立っていた。

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