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ティア・イリュージョン  作者: おおまめ だいず
秘宝編
30/206

友情の糸

「ふ~ん…サブ職か。」


 レオが切符のような紙を持っている。紙には、〈サブ職・クラフター権〉と書かれている。


「エルドさんから聞くと、サブ職はいつでも変えることができるらしいし、普通の職業みたいに、レベルがあって、段階ごとに戦闘に役立つスキルが身につくらしい。」


 ドーマがレオにペンを渡した。


「なんか、おもしろいですね。でも、クラフターになって何をするんですか?」


 ネネカがドーマに問いかけた。


「ネネカ、さっきアタシ、殴られそうになっただろ。多分、このままじゃ皆、外に出なくなって現実の世界に帰るどころか、ダメになっちゃうんじゃねぇかなって。」

「それで、これを?」

「ああ。悪くねぇだろ。」


 ドーマがニヤけた。そしてレオに口を開いた。


「……あ、そういえば、アイツは?」

「アイツ?………あ、あ~。アランのこと?さっき武具屋行くって言ってたよ。」

「アランさんにもサブ職のこと言いに行きましょう。」


 三人は、商店街へ向かった。




「悪いねぇ、にいちゃん。今日は武闘家系の武器は仕入れてないんだよ。明日にしてくれないか?」

「なんだよ、つまんねぇな。もっとなんか無いのかよ。グローブとか、ツメとか…なんならガントレットでも…」

「にいちゃん…ガントレットはさすがに高すぎるぜぇ……」

「おーい、アラーン!!」


 三人は武具屋にいたアランと合流した。


「おう、おめぇら。今日はいいもん売ってねぇわ。」

「おおおお!!おっちゃん、いいもん売ってんじゃん!!!」


 ドーマが目を光らせた。


「お?ねぇちゃん、どれや?どれや?」

「それだよ、それ!その長い弓!!」


 ドーマが指をさして言った。


「あぁ、緑樹の長弓か。730セリアだが、どうだ?」

「くれよ!ライフル売るからさ!」

「あいよ!…すまんなぁ、お前ら。明日はちゃんとしたヤツ仕入れてくるからよ。」

「ありがとう。じゃあ、行こうか。」


 四人は商店街を歩きはじめた。


「ねぇ、アラン。一つ提案があるんだけど。」


 レオが小さい紙を取り出した。


「どうした?」

「最近、生徒が旅に出てなくて、このままでは魔王倒せないんじゃないかなと思ってさ…」


 レオがアランに紙を渡した。


「…サブ職?……クラフター?なんだこれ?」

「皆で温泉でもつくってみようかな…と思ったんだけど、やってみない?」


 すると、アランがレオに紙を返した。


「おいおい、温泉?そんなことより、さっさとレベル上げて魔王倒したほうがいいんじゃねぇのか?」

「で…でも……皆が…」

「は?皆?皆って生徒のことか?お前、さっきのデンテとかの言動忘れたのか!?」


 アランが怒りはじめた。


「待ってよ、僕の話を」

「もう他の生徒なんかどうでもいいんだよ!!今の俺たちには、のんびり温泉つくってる暇なんかねぇんだよ!!あと、死んだ奴らはどうなるんだ!?」

「アラン!!」


 レオは我慢できず、アランを突き飛ばした。


「…ってぇっ!てめぇぇ!!」


 アランがレオに殴りかえした。レオは倒れた。


「やめてくださいっ!」

「おいっ!アラン!!」

「…こいよ、レオ。俺に傷をつけねぇと気が済まねぇだろ?」


 すると、レオはゆっくり立ち上がり、剣を握った。


「レオ!!お前ら、もうやめろ!!」

「はぁぁぁぁっ!!」


 レオがアランに飛び掛かった。が、アランがレオの刃を銅の拳で受け止め、もう片方の手でレオを殴り飛ばした。


「ぐあぁぁっ!!!」


 レオは倒れた。


「おい!アラン!!やっぱお前はそんなヤツだったんだな!!」


 ドーマが弓を手に取った。


「ものづくりなら勝手にやってろ!!もう俺だけで行く。あのシェウトのようにな。」


 アランは三人の前から姿を消した。ネネカはひどく落ち込んでいる。


「くっ……おい、レオ。大丈夫か?」


 ドーマがレオに声をかけた。


「う…がはっ!…だ、大丈夫だ…………つくろう…みんなで…」

「……ああ。」


 レオは、紙を拾い、ペンを持って名前を書いた。その瞬間、紙は燃え、その火はレオの胸に入っていった。

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