表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ティア・イリュージョン  作者: おおまめ だいず
秘宝編
29/206

一滴の成長

「シルバだぁ?へっ、このゲームのモブか。まぁお前、その手を離そうか。」

「お、おいデンテ…やめとけよ……その人、レベルが…」


 デンテの後ろにいたキュレスが言った。


「あ?そんな怯えることねぇだろ……!ご、ごごご59!!??」

「ま、いいや。」


 シルバが手を離すと、デンテは逃げ出した。


「シルバさん。な、何しにここへ?」


 レオが質問した。


「ちょっとな。…はーい、みんな注目ー!」


シルバがテーブルの上に座った。


「この中でレベル20いってるよ〜って人…手~あっげてっ!」

「……あ、アタシちょうど20だが…」


 ドーマが手を挙げた。すると、シルバはドーマに向かって指を鳴らした。


「はいビンゴォ~。ちょっと話あるんだけど、来てくれない?」

「あ、ああ…アタシで良ければ…」

「OK、じゃあ行こう!」


 シルバはドーマを連れて酒場を出た。


「な、なんだったんだ?……」




 ドーマはシルバについていくとパーニズギルダーズの小屋に着いた。入口の上に掛けられた看板には、前と変わらず、〈パーニズ相談事務所〉と書かれてある。


「じっちゃん、連れてきたよ~。」


 シルバが扉を開けた。


「おやおや、ずいぶん遅かったですね。」


 小屋に入ると、カウンターの奥には、ワイングラスを拭いているエルドがいた。


「また酒場で居眠りですか?それとも、人を殴った…とか?」

「お、じっちゃんすごいな。居眠りは正解だ。」

「喧嘩は?」


 リュオンが椅子に座ってチェスの駒を見つめながら言った。


「喧嘩?してないしてない。ってかしない。したくない。」

「あれれぇ~、この前アランちゃんを突き飛ばしたとかなんとか…エルドじぃとライラ君から聞いたよ?」


 クレアが楽器を置いてシルバの方に寄ってきた。


「あ………ば、バレた?」

「フフ、このおバカさん。」

「まあまあ、クレアちゃん。あれは正当防衛って言って、しゃぁないことだったの。許してちょ。」


 マリスが奥で機械をいじりながらクレアを睨んでいる。


「あ、あの~…アタシは?」

「おっと、すまんすまんドーマ。まぁここに座って。」


 シルバがカウンター席を用意すると、ドーマは「失礼します。」と小さな声で言って座った。


「早速ですが、あなたの職業は?」


 エルドはドーマの前にワイングラスを置いた。


「アーチャーです。昨日のクエストでレベル20になりました。」

「そうですか、それは良かったですね。」


 エルドはドーマの前のワイングラスに紫色の飲み物を注いだ。


「ドナウで採れたスズラングレープを使ったワインです。どうぞ。」

「あの~、まだ15なんですが…」


 ドーマは苦笑いをした。


「………失礼。」

「じゃ、代わりにもらうぞ~。」


 リュオンがワイングラスを取り上げ、椅子に座った。


「しかし、レベル20になったあなたは、もうアーチャーではないのですよ。」

「え、どういうことです?」

「この前言っただろ?」


 シルバがドーマの横に座った。


「レベルが上がると、職業の名前が変わるんだよ。おまえはアーチャーだったから、今はもう立派なガンナーさんってわけ。」

「ガンナー……ちょっとカッコいいかも…で、でもガンナーだから銃しか使えないんじゃ…」

「弓を使いたいんだよね。大丈夫だよ。冒険者の中には、魔法使いのくせに斧を持ってる人もいるし、俺なんかヒーラー職なのにレイピア持ってるし。」


 ライラがココをなでながら言った。


「なんか、色々とありがとうございます。……あ、一ついいですか?」

「なんでしょう?」


 エルドがワイングラスを拭きはじめた。


「シルバさんはさっき酒場で見たと思いますが、最近友達がクエストに出てくれなくなってきて…」

「ほう。どうしたいのです?」

「やっぱ、そこは皆で協力してダークネスに勝ちたいと言うか…」


 エルドがワイングラスをドーマの前に置いた。


「そうですね…それなら、皆で何か大きなものをつくってはどうでしょう。温泉がおすすめですが。」

「なるほど、温泉かぁ~…」

「もしつくるのならば、あなたたちにサブ職のクラフターになる権利をあたえますが、どうでしょう。」

「サブ職?…」


 エルドはドーマの前のワイングラスに透明な飲み物を注いだ。


「チャナで採れたドラゴンアップルを使ったワインです。どうぞ。」

「あの~、まだ15なんですが…」


 ドーマは苦笑いをした。


「………失礼。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ