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ティア・イリュージョン  作者: おおまめ だいず
秘宝編
28/206

雨雲の向こう

 暗黒の曇り空の下、雨が降りそそぐパーニズで、レオたちは教会の裏の墓場に立って同級生の墓を見つめている。


「なぁ…人ってモロいよな……」


 アランが小さい声で言った。


「…は?どういうことだよ……」

「今まで当たり前に俺らと話してたヤツも、今ではこれだ……」


 アランが雨で濡れた墓石をなでた。


「ごめんなさい…私があの時、はやくコラーグさんに回復魔法をかけていれば……」


 ネネカの流す涙は、雨とともに落ちていく。


「ネネカ、君は悪くないよ……」

「でもネネカ、おまえ今まで人の傷見るだけで怖がってたけど、さっきはコラーグ回復させようと必死だったじゃんか。アタシ、なんかネネカが強くなったように感じるよ。」


 ドーマはネネカの背中にそっと手をおいた。



 闇の渦の下には、光の階段が一段増えていた。




 その夜が明けても、雨はまだ降り続いている。酒場では、生徒が数人集まって話していた。


「おい、聞いたかよ。コラーグとユスーチとベリルが殺されちまったんだとさ。」

「はぁ!?本当かよそれ……」

「じゃあ、シェウトは?一緒だったんじゃ…?」

「それが、まだ帰ってきてないんだってよ。」

「なんだそれ。まさかあのヤンキー、レベル高いくせに三人おいて逃げちまったんじゃねぇの?」

「シェウトは!!…逃げてなんかない…」


 それを聞いていたレオが言うと、酒場の中は静かになった。


「シェウトは自分だけ生き残ったことに、とても後悔していると思う。三人が死んだ時、守れなかった自分をダサいって言っていた。」

「ああそうかい、…それでもよぉっ!!また人が死んだことには変わりねぇんだよっ!!」

「うるせぇぇぇぇっ!!!」


 アランが怒鳴った。


「てめぇら、一人ずつレベル言ってけよ!!どうせパーニズにずっと居て1だろ!!!」

「ぅっ……そう言ってる貴様らはどうなんだ!?おい!!」

「僕は17。」

「18!!」

「20だよ。」

「私は……16です。」


 酒場にいた生徒は皆口を閉じた。


「…な、なんだよ…なんなんだよお前ら、こんな時に…このゲーム楽しんでんのか?地味にレベル高いしよぉ…」

「一日でも早くこの世界から出ようとすると、どうやらそうなるらしい。何もしてないアンタたちとは違ってな。」


 ドーマは瞳をギラリと光らせた。


「ちょっとレベル高いだけで調子に乗るなぁぁぁっ!!!」


 デメスト・メント(デンテ)がドーマに殴りかかったその時、デンテの腕を何かが掴んだ。


「おめぇら、魔王一緒に倒すんなら喧嘩する暇ねぇだろぉ〜。」


 シルバがあきれた顔をしてデンテの腕を掴んでいた。


「シルバさん!!」

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