雨雲の向こう
暗黒の曇り空の下、雨が降りそそぐパーニズで、レオたちは教会の裏の墓場に立って同級生の墓を見つめている。
「なぁ…人ってモロいよな……」
アランが小さい声で言った。
「…は?どういうことだよ……」
「今まで当たり前に俺らと話してたヤツも、今ではこれだ……」
アランが雨で濡れた墓石をなでた。
「ごめんなさい…私があの時、はやくコラーグさんに回復魔法をかけていれば……」
ネネカの流す涙は、雨とともに落ちていく。
「ネネカ、君は悪くないよ……」
「でもネネカ、おまえ今まで人の傷見るだけで怖がってたけど、さっきはコラーグ回復させようと必死だったじゃんか。アタシ、なんかネネカが強くなったように感じるよ。」
ドーマはネネカの背中にそっと手をおいた。
闇の渦の下には、光の階段が一段増えていた。
その夜が明けても、雨はまだ降り続いている。酒場では、生徒が数人集まって話していた。
「おい、聞いたかよ。コラーグとユスーチとベリルが殺されちまったんだとさ。」
「はぁ!?本当かよそれ……」
「じゃあ、シェウトは?一緒だったんじゃ…?」
「それが、まだ帰ってきてないんだってよ。」
「なんだそれ。まさかあのヤンキー、レベル高いくせに三人おいて逃げちまったんじゃねぇの?」
「シェウトは!!…逃げてなんかない…」
それを聞いていたレオが言うと、酒場の中は静かになった。
「シェウトは自分だけ生き残ったことに、とても後悔していると思う。三人が死んだ時、守れなかった自分をダサいって言っていた。」
「ああそうかい、…それでもよぉっ!!また人が死んだことには変わりねぇんだよっ!!」
「うるせぇぇぇぇっ!!!」
アランが怒鳴った。
「てめぇら、一人ずつレベル言ってけよ!!どうせパーニズにずっと居て1だろ!!!」
「ぅっ……そう言ってる貴様らはどうなんだ!?おい!!」
「僕は17。」
「18!!」
「20だよ。」
「私は……16です。」
酒場にいた生徒は皆口を閉じた。
「…な、なんだよ…なんなんだよお前ら、こんな時に…このゲーム楽しんでんのか?地味にレベル高いしよぉ…」
「一日でも早くこの世界から出ようとすると、どうやらそうなるらしい。何もしてないアンタたちとは違ってな。」
ドーマは瞳をギラリと光らせた。
「ちょっとレベル高いだけで調子に乗るなぁぁぁっ!!!」
デメスト・メント(デンテ)がドーマに殴りかかったその時、デンテの腕を何かが掴んだ。
「おめぇら、魔王一緒に倒すんなら喧嘩する暇ねぇだろぉ〜。」
シルバがあきれた顔をしてデンテの腕を掴んでいた。
「シルバさん!!」




