道を塞ぐ者
“や…めろぉ……!!やめろぉぉっ!!!”
「ヌァッ!!……」
宿屋で寝ていたアランは、夢から覚めた。が、まだ外は暗く、満月が輝いている。
「チッ、またあの夢か……」
アランはコップに水を入れ、夜空を見上げた。
「俺たち…本当に、帰れるんだよな?……」
日が昇り、パーニズも暗黒から覚めた。レオ達は宿屋から出て商店街に向かった。
「店、結構にぎやかですね。」
「うん、最近クエストに参加する人も増えたし、雰囲気よくなったよね。ね、アラン。」
レオはアランの方を見た。しかし、アランは下を向いて黙っている。
「アランさん…?」
アランはドーマの方を見たが、すぐに下を見た。
「なんだよ、こっち見んなよ。」
「アラン…何かあったの?」
「………んなワケねぇか。なんもねぇよ。ほら、買いたいもんあんなら、とっとと買ってクエスト行くぞ。」
アランはため息をついた。
「アラン、ドーマになにかあったの?」
「なんもねぇって!」
すると、一枚の紙がネネカの顔面に飛んできた。
「キャッ!!…………な、何でしょうか……この紙…………」
ネネカが紙を手に取った。そこには、こんなことが書いてあった。
〈南西のガイアに秘宝持ちロックエイプ三体出現。商人の通る通路を塞ぐように縄張りをつくっている。至急討伐を頼む。詳しくはクエストボードで。〉
「なぁ、せっかくだし、このクエスト受けようぜ。」
ドーマがネネカの手から紙を取り上げた。
「そうだね。秘宝って、あの闇の渦への階段ができるアイテムのことだよね。」
「あぁ。つまり、このクエストをやれば、帰れる日が近づく。」
「それなら、行くしかないですね。」
「ああ。一日でも早く魔王を倒して帰らないとな。」
四人は酒場へと向かった。クエストボードのまわりには、多くの人々が群がっていた。
「ガイアの商人の通る道が塞がったということは、ほとんどの国の商売が成り立たなくなってしまう。」
「困ったわねぇ、ガイアで取れる特効薬はとても良いのに……」
「このクエスト受けてくれるパーティはいないのか?」
ボードの前での話声はさらに大きくなった。
「安心しろ、俺のパーティが出てやる。」
その時、一人の男が言葉を放った。 シェルキー・アラート(シェウト)だ。幼い頃から殴り合いを楽しむような生徒だが、根はそこまで悪くはない。
「俺のパーティがロックエイプとやらをブッ飛ばしてやる。まぁ、俺の手にかかれば一捻りだろ。」
「んぁ!?お前、このクエストをやるのは、このアラン様のパーティだ!勘違いするな。」
アランが拳をパキパキと鳴らした。
「ア、アランさん!喧嘩は…………」
「ふっ、良いだろう。アラン、貴様のパーティの力がどれほどか、見せてもらおうか。精々頑張ることだな。」




