敵の増援
「お前は帰れ。死ぬぞ………」
「だ、誰だテメェ…」
バルゼフがシルバの顔を見つめた。
「銀刄シルバ、銀刄家の男だ。そんなことより、なぜお前のようなヤツがここにいるんだ?」
「ふっ、ダメか?それとも、今一頭倒して血迷ったか?」
バルゼフはゆっくりと立ち上がった。
「血迷っているのはそっちだ!」
ココがバルゼフの足元で言った。
「ほぅ、小さいくせに態度はデカいんだな。」
「バルゼフ、後ろ!!」
カルマが叫んだ。
「チィッ!」
その瞬間、シルバはバルゼフの背後にいたエンペラーグリズリーを一撃で仕留めた。
「……なぁ〜、帰れよぉ。」
シルバは刀についた血を振り掃った。
「……し、しょうがねぇなぁ。今回は引き上げてやる。達者でなぁ。」
バルゼフはペガサスに乗ってパーニズへと帰った。
「シ、シルバさん…来てくれたんですね。」
レオが剣を下げて言った。
「なぁに、ただ楽しそうだった。…それだけだ。お前ら来たのは予想通りだったわぁ。来てくれて嬉しいぞ。」
シルバがレオの眼を見てニヤけた。
「じゃあ、あの放送や会議も……」
「あぁ、俺たちパーニズギルダーズが仕組んだ。」
すると、シルバはもう片方の刀を左手に取り、ココはリュオンに変身した。二人とも鋭い眼をしている。
「あと、俺とココが来たのには一つ理由がある。」
「なんですか?」
「熊ちゃんのお友達の登場だ。」
その時、森の奥から数えきれないほどの魔物がこちらに向かって来た。炎を纏い、鹿のような体をしたフレイムガゼルだ。
「な、なんだありゃぁ………」
「エンペラーグリズリーだけで精一杯なのに多すぎるぞ。」
ドーマとアランの口が震えている。
「パーティに2つ枠空けてくれてサンキューな。行くぞ、遊んでやる!!!」
シルバは狐火で素早さをあげ、リュオンに変身したココと共にフレイムガゼルの群れに飛び込んだ。
「喰らえ、“大海無双“!!!」
シルバが両手の刀を振ると、津波のようなものが魔物の群れをのみ込んだ。
「カードオープン…」
ココが五枚のカードを出した。
「……フッ“ストレートフラッシュ“」
すると、五枚のカードが光り出し、一瞬周りが真っ白になった。
「うっ!まぶしいっ!!」
ネネカは眼を閉じた。
眼を開けると、さっきまで目の前にいた魔物の群れのほとんどが消えていて、空からは大量のコインが降っていた。
「す、すげぇ……あの小さかった狐が、こんなに………」
カルマが眼を大きくして驚いた。
「さすがリュオン……オイラの予想を遥かに超えている。変身ごたえ大有りだな。」
ココはリュオンの姿から、元の姿に戻った。
「なぁお前ら。」
シルバがレオ達の方に振り向いた。
「生き残ったコイツらは全部弱ってるから、討伐頼むわぁ。」
「………当然だ。バーノンの仇をとるために俺たちはここに来たんだ。」
アランが両腕に銅の拳をつかい、気合いためをした。
「金髪侍と小さい狐の次は、俺たちの番だ。行くぞ!!」