皇帝熊の縄張り
レオ、アラン、ドーマ、ネネカ、コルト、カルマ、バルゼフのパーティは、ペガサスに乗ってイルアの森へ向かった。
「なぁレオ。バルゼフってどのくらいの強さなんだ?」
カルマがバルゼフの方を見て言った。
「あぁ、ステータスを見るとLvは3、職業は戦士、装備はすべて毛皮。あまり強くなさそうだ。」
「フッ、どうせ魔物が怖くて毎日宿で引きこもってたんだろ。」
ドーマがバルゼフに冷たい視線を送って言った。
「ん?何か言ったかぁ?」
バルゼフが腕を組んで六人の方を見た。
「何も言ってねぇよ。」
ドーマは目を逸らした。
「皆さん、怖いですよ……………………」
ネネカが下を向いた。
そうしているうちにレオ達はイルアの森に着いた。七人はペガサスから降り、エンペラーグリズリーの群れを探し始めた。
「じゃあ、エンペラーグリズリーを一匹でも見つけたらすぐに武器を構えるんだ。」
レオが一人一人の眼を見て言った。
「ッ……そんなのすぐに蹴散らせばいいんだろ?」
バルゼフはそう言って背中についたフックからブロンズアックスを取り出し、走り出した。
「おい待て、バルゼフっ!!」
「何だお前ら、ビビってんのか?」
その時、草木の間からエンペラーグリズリーの子供が次々と出てきた。
「ッく!出てきたか。」
レオ達は武器を手に取った。
「ドーマ、ネネカ、僕たちはこっちへ!」
コルトとドーマとネネカは後ろへ下がった。
『グオオオッ!!』
『グァァァァッ!!!』
二頭のエンペラーグリズリーがレオとカルマに引っ掻いてきた。
「カルマっ!!」
「分かってる!!」
レオとカルマは攻撃を回避し、エンペラーグリズリーの首を斬った。
『グオォォッ!……』
二頭のエンペラーグリズリーは首から大量の血を出して倒れた。
「よし、」
そして、アランは四頭のエンペラーグリズリーを相手に”銅の拳”を使った両腕を振り回している。
「俺の重い拳を喰らえぇっ!!!」
すると、アランの背後から一頭のエンペラーグリズリーが襲ってきた。
「アラン、後ろ!!!」
「なっ!!」
その時、遠くから大きな炎が飛んできた。その炎はエンペラーグリズリーの胴体にあたり、火だるま状態にした。
「危ないときは、僕とドーマとネネカで守るから、安心して戦って!!」
コルトがウッドロッドを上にあげて言った。
「すまん。じゃあいくぞぉぉっ!!!」
アランがエンペラーグリズリー目掛けて飛び出したその時、バルゼフが、「邪魔だ、どいてろ!!」と言い、アランに体当たりをした。
「アランっ!!!」
「っぐぉっっ!!……テメェ、何の真似だ!!」
アランがバルゼフを睨み付けた。
「決まってるだろ、手本を見せてやんだよぉっ!!!」
バルゼフはエンペラーグリズリーにアックスを力強く振った。しかし、攻撃はあたったものの刃は肉を通らず、弾かれてばかりだ。
「クソォ、なぜ、なぜだ!!」
エンペラーグリズリーはバルゼフの方に振り向き、鋭い爪を上にあげた。
『グォォォォッ!!!』
「…!クソォォォォッッ!!」
バルゼフが必死に丸くなった。
ズバァァァッッ!!!
その時、エンペラーグリズリーは大きな音をたてて倒れた。
「なっ………!!」
バルゼフが顔を上げると、目の前には、紅の衣を着た刀を握る青年と、小さな火狐がいた。
「お前は帰れ。死ぬぞ………」




