18年前の襲撃
シルバは、レオ、アラン、ドーマを連れてクエストを受けることにした。
「さ〜て、どこに行けば良いのかな?」
シルバはそう言って地図をひろげた。
「こ、これは……。」
地図には、現実の世界とほとんど同じ大陸が描いてあった。
「ん?どうした?……ま、いっか。え~っと、地図によると、…南カリファ大陸の方か。」
シルバがそう言い、アフリカ大陸の所に指をさした。
「あのぉシルバさん?今アタシ達がいる所ってどこなんすか?」
ドーマが言うと、シルバは日本の所に指をさした。
「ここだ。カリファ大陸は遠いからペガサスで移動だな。よし、ついてこ〜い。」
レオ達はシルバについて行った。辺りはもう薄暗く、ただランプや松明の生暖かい光がパーニズの町を照らすくらいだった。
少し歩くと、シルバは立ち止まった。
「ここだ。」
奥を見ると、木でできた柵の中に何頭ものペガサスがいた。看板には<ペガサス 24時間貸し出しOK>と書いてある。
「お〜い、ペガサスを四頭借りたいんだけど〜。」
シルバが大声で言うと、柵の方から老人が出てきた。
「おぉ……シルバ様、どこかへ行くのですか?」
「ああ、今からフラッとカリファの下の方へ。」
「…そうですか。……ところで後ろの三人は?」
老人がレオ達を見ると、3人は軽く頭を下げた。
「ど、どうも、レオです。」
「アランだ。」
「ドーマだ。」
レオ達が名乗るとシルバが言った。
「おっと、おっちゃん。ちょっと買い物してくるから待っててくれ。」
「はぃ……分かりました。」
シルバは商店街の方へ走って行った。
「な、なぁ、老人。」
アランが老人に声をかけた。
「あのシルバってヤロウは一体誰なんだ?」
「……知らないの…ですか?では18年前の襲撃もご存知無い?」
老人が質問してきた。
「襲撃?何があったのですか、18年前に?」
「うむ。思い出したくは無いが、18年前に、ダークネスがこの世界を襲ってきたのじゃ。」
老人の顔が少し暗くなった。
「ダークネスが!?」
「そうじゃ。闇の渦が大きくなると同時に空が真っ黒に染まってのぉ、渦の中からは魔物がゾロゾロと出てきたのじゃ。」
老人は震えはじめた。
「怖かった。家は燃え、攻撃を受けた者は次々と死んでいったよ。逃げるところなんて世界のどこを探しても無かった。わしの家族も皆……殺された。」
老人の瞳からは一筋の涙がこぼれた。
「そうですか。」
「で、シルバはどんなヤツなんだ。」
アランが言った。
「シルバ様は、かつてパーニズの王族であった銀刄家の子供でのぉ。18年前の襲撃で奇跡的に生き残った一人じゃ。今は行方不明の兄を探しているとか。」
「お待たせぇぃ!」
シルバが大きな袋を持って帰ってきた。
「おっちゃん、出発できるか?」
「はい、いつでもどうぞ。」
レオ達はペガサスに乗った。
「じゃあ、行くぞ!」
四頭のペガサスは翼を広げて大空へ飛んだ。
「行ってらっしゃいませ!!」
下から老人の声が聞こえた。あっという間にパーニズが小さくなり、大陸の一つ一つがクッキリ見えるようになった。
「お前ら、受け取れぇい!」
シルバがそう言って何かをレオ達に投げ、三人はしっかりと握った。
「お前ら、さっきから飯食ってねぇだろ?トロンコッカーの骨つき肉で良ければ食え。」
「あ、ありがとうございます。」
「チッ!これだけか。」
「おいアラン、要らないのか?」
ドーマがアランに言った。
「要らん。」
アランはそう言うと肉を海へ投げた。
「アラン…。」
その後、1時間もペガサスに乗って飛んでいたが、カリファ大陸はまだ見えず、ただ見えるのは、星空が薄くうつる海だけだった。
「綺麗だなぁ。こんなに綺麗な海、初めて見たよ。」
レオが海を見ながら言った。
「確かに。今まで夜中に旅をしたことが無かったからな。」
ドーマが目を輝かせながら言った。
「お~いお前ら、もうすぐ着くぞ。武器やら準備しろよ。」
その時、大きな大陸が見えてきた。