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コンピュータ室で会いましょう

 誰もいないコンピュータ室。

 一人で生徒会の作業をしていると。

「……柊?」

「あ、桐生先輩、こんばんはー」

 機嫌の悪そうな桐生先輩がやってきた。

「何をしているんだ?」

「各学年に配布するプリント作成ですよ」

「そんなもの、家でもできるだろ?」

 残念、家にはパソコンという文明の利器はありませんでした。

 なので、先生にお願いして、ここのパソコンを借りているのです。

「……なるほど」

「でも、もうすぐ終わりますよ。もう印刷も終わりましたし、後はこのソフトを閉じれば……あれ?」

 余裕な顔でさっきまで使っていたソフトを終了させようとしたら……画面が固まっちゃったんですけど!!

 いや、もっと分かりやすくいうと、その画面のまま、パソコンが止まっちゃったというか!!

 うわわ、こういうときってどうするんだったっけ!?

「……たく、こうすればいいだろう? 習わなかったのか?」

 桐生先輩は慣れた手つきで、私のすぐ後ろから手を伸ばして、キーを打つ。それと同時に新たなウインドウを表示させて、マウスを動かしクリック。

 すると、さっきまで閉じれなかったソフトが終了してくれました。

「強制終了の仕方、覚えておいて損はないぞ?」

「……ですね。えっと……どうやるんですっけ?」

 私のその言葉に、桐生先輩はきょとんとした顔をしたと思ったら。

「ぷくくく、お前、鳥頭か?」

「そ、そんなんじゃないですっ。ただ、先輩の操作が早くて覚え切れなかっただけ……っ!!」

 振り返って、私は更に抗議しようとして。

 すぐ目の前に先輩の顔があって。


 ふええええええ!!!


「ほら、教えてやるから。ちゃんと覚えて置けよ」

 びっくりする私をくるんと椅子を回して、先輩はモニター側へと体を向けさせた。

「いいか、まずはこのキーと……」

 耳元で囁くかのように、教えてくれながら、覆いかぶさるようにキーを教えていく。


 だ、だから、近いってばっ!!


 けど、お陰でなんとか、やり方はマスターしました。はい。

 いや、それよりも……。

「で、柊。ちょっと聞きたいことがあるんだが、いいか?」

「な、何ですか?」

「好きです」

「ふえっ!?」

「と、とある女学生に言われたんだが、やはりこれは男女交際の始まりなんだろうか?」

 うわ、びっくりした! 私が告白されたかと思ったっ!!

 いやいや、それよりもそれってっ!?

「男女交際って……なんて古い言葉を使ってるんですか」

「今はそういわないのか?」

「今は、付き合う付き合わないのどちらかでいいんですよ。まあ、とにかく、付き合いたかったら、付き合えばいいんじゃないですか?」

「だが、下手をしたら、不純行為にもなりかねん」

 不純行為だなんて、いったい、いつの時代の人ですか、先輩?

「だったら、先輩の思う付き合い方をすればいいんじゃないですか。先輩の思い描く、清い男女交際、始めればいいんじゃないですか?」

「……なるほど、そうだな。ありがとう、これで迷わずに済む」

「それは良かったですね」


 このとき、私はもっと先輩に追及すればよかったと、後悔したのは言うまでもなく。

 その後、桐生先輩も生徒会室に来なくなってしまったのです。

 合掌。

これで三人目ー。

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