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私の自慢の生徒会、でした


 私はどこにでもいるような、女の子です。

 黒縁眼鏡に、ちょっぴり色素が薄くなって茶髪に見えるような黒髪。

 この制服だって、改造なんてしてない。

 あ、でも、スカートの丈を短くはしてるかな。ウエスト部分を巻いて。

 だから、ちょっとキツイ。

 ううん、こんなのはどうでもよかったね。

 勉強?

 陸上部の成績が良かったから、なんとか特待生枠で入れた感じです。

 今は、ついていくのに精一杯。

 塾に行けばなんていわれそうだけど、うちにはそんなお金がないんだよね。

 だって、上に2人のお兄ちゃんがいるし、下に双子の妹もいる。

 だから、一人で頑張らなきゃ行けない。

 まあ、誰かに教えてもらえれば、解決しそうな気はするけど……。


 柊沙奈は、そんな子です。


 で、そんな子がなんで生徒会に入ったかというと。

 立候補する人がいなかったんだよね。

 だったら、沙奈、入っちゃいなよなんて言われちゃってね。

 かなり悩んだんだよ、これでも。

 陸上部と掛け持ちになるから、ちょっと辛いなと思ったんだけど。

 ギリギリまで考えて、決めました。


 まあ、ちょっと、生徒会に立候補する人達も凄いなというか、惹かれたというのもあったり。


「柊さん、聞いてるの?」

「あ、はい、聞いてまひゅ……」

 うわあ、噛んじゃったよ。

 書記の夕霧さんに睨まれちゃった。ごめんなさいって、すぐ頭を下げたら、仕方ないって顔されちゃったけど。

 これでも夕霧さんの方が後輩なんだよね……。


 あっと、今は生徒会室で、ミーティングしているんだ。

 今回はこれから始まる生徒会の仕事を、一つ一つ確認しているところ。

 とはいっても、前年度の資料とか行事表とかあるから、それらを見ながら、自分達のすべき役割はどんな風になるのか、話をしながら進めてるの。


 会長なんか、凄いよ。

 ミーティングしながら、会計から来た各クラブの予算案のチェックしてる。

「葉月、この額が前年度よりもかなり多いから、確認してもらえるかな? 面倒なら、ハル使っていいから」

「ええ、また行くんですかぁ~」

 ハルちゃんの言葉に会長は。

「葉月はこういうの得意じゃないんだよ。一緒についていって、フォローしてくれるだけでいいから。ね?」

 後で何か奢るからって、会長は言ってます。

 何を奢るんだろ? ちょっと気になるところです。

「……で、俺達の最初の大仕事が秋の合唱コンクールになる」

 等々力先輩から渡された資料を受け取り、うげっとなった。

 まず、各学年ごとに課題曲を出さなくてはならない。

 課題曲といっても、数種類の曲から先生と打ち合わせして決めるから、さほど困ったことにはならない。

 ただ、自由曲が曲者だ。

 各クラスごと、違う曲にしなくてはならない上に、バッティングしたら、後から申請したクラスはもう一度、選びなおしになる。

 それを何度かやって、決まったら、すぐさま、プログラム作り。

 課題曲と自由曲のリストと、大まかな時間割もつけて、印刷所に頼んで印刷してもらう。

 それが終わったら、歌を判定してくれる人の選定。

 大体は音楽の先生が担当するのだが、一人だけ何処かから、ゲストを呼ばなくてはならない。

 ゲストを呼んで、ゲストを持て成すのが生徒会の役目になっている。

 まだ終わらない。

 席のセッティングは、運動部の生徒達が中心となってやってくれる予定だが、ステージは生徒会が責任を持ってやらねばならないようだ。

 当日の照明やマイクテストも演劇部の人達や放送部の人達と協力してやらなくてはならない。

 やることいっぱいだ。

「そう不安そうな顔をするなよ。俺達もいるんだからな」

「は、はい、そうですよね!」

 その等々力先輩の頼もしい言葉に、思わずじーんとしちゃいました。

 だから、そのとき、大丈夫って思ったんです。

 私にもきっとできるって。


 けれど、異変はこの日を境に、少しずつ始まっていたのです。




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