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知らないことが多すぎて

 ラインディーヴァから降りてきた美柚ちゃんに駆け寄る私。

 だけど……無事を喜ぶ私を待っていたのは、労いの言葉でも、ありがとうの言葉でもなく。

「あんた、少しでも覚悟を持ってやってたのか!? わたしは命をかけて、全てをかけて戦ってたんだ。あんたは、その覚悟を持って、全てを知って、これに乗っていたのかっ!?」

 え? それってどういう……!?


「言ったはずだ、覚悟のないやつに、それに乗る資格はないっ!!」


 私は美柚ちゃんにそういわれて、半ば呆然とするしかなかった。

 覚悟ってなに?

 私が知らないことはいっぱいあるよ?

 もしかして、美柚ちゃんは、それを知っているの?

 何も言えずに、私は先生に促されるまま、学園の特別寮へと連れて行かれたのでした。


「……で、あるからして、我々が開発したラインディーヴァは、女性しか乗り込めない構造になっており……」

 主任の先生がレクチャーしてくれているけど、よくわからないことばかりだった。

「ラインディーヴァのダメージは、主に機体やパイロットではなく、サーバーが補うことになる。それによって、機体も優秀なパイロットも失うこともなく、本作戦に向かえるものとなっている。また……」

 サーバーってなに? よくわからないことばかりだ。

 それに……。


『覚悟のないやつに、それに乗る資格はないっ!!』

 だから、それを実感する前に、私はラインディーヴァに乗らされたんだっつーのっ!!

「ああんもう、イライラするっ!!」

「お、柊。ちゃんと説明、聞いてたんだよな?」

 あっ……。

 その後、私はみっちり主任の先生に指導を受けて、へとへとになって、教習室を出たのでした。あううう。


「お疲れ様」

 そっと、私の大好きないちごみるくを差し出してくれたのは、浅樹先生だった。

「先生……ありがとうございます」

「どういたしまして」

 ごくごくと飲み干して、私は、深いため息をつく。

「先生、私……乗っちゃいけなかったんですか? 何にもわからないし、ただついていくだけで精一杯で……」

「僕は君がいなければ、カリスには乗れないよ」

「えっ……」

 ふっと微笑んで、先生は続ける。

「もちろん、沙奈の知るべきことは多いし、やることだって多い。でも、それでも僕は、君に隣にいて欲しいんだ。……それじゃ、駄目かな?」

「だ、駄目じゃないです!」

 憂いを帯びた先生の瞳に、私は思わずそう叫んでいました。

「よかった。じゃあ、もう休もうか。初めての戦いで疲れているだろうし、部屋はこっちだよ」

「あ、でも私、家に連絡しないと……」

「それはもう終わってるよ。沙奈の家族も了承済み。だから安心して?」

「は、はい……」

 そして、私は案内された部屋で、あっという間に眠りについたのでした。

 うん、あれは意外とハードだったよね。


 っていうか、ゆっくり休ませてくださいっ!!

 翌日の明け方に、襲ってくるシャドウガウルにがつんと言わせてください!!

 もう少し寝たかったよ、先生っ!!

「うん、そうだね。でもそんなこといったら、変な誤解を受けるかもしれないから、僕以外にはいわないようにね?」

「え? それってどう……わきゃああああああ!!」

 慣れない発進にまた叫んじゃいました。てへ。

 それはさておき、とにかく、このイライラをぶつけるべく、シャドウガウルをガンガン倒して、ゆっくり休みたいです!!

「うん、その意気はいいね」

 でしょ?

 お陰で調子がいいです!! えいえいえいっ!!

「でも、油断しないようにね?」

「はいっ!!」

 一匹残らず倒しちゃいますよ! 覚悟はなくとも、全部倒してみせますっ!!

「!! 沙奈、右4時の方向!!」

「えっ? 4時ってどこ……きゃああ!!」

 初めて、被弾してしまいました。

 ぐらぐら揺られて、ちょっと気持ち悪いです。

「……沙奈、沙奈! 大丈夫?」

「あ、はい。ちょっとクラクラしましたけど、だいじょ……せ、先生っ!!」

 そのとき、やっと知ったんだ。

 ラインディーヴァが被弾したらどうなるか。

 ダメージがサーバーに負わされる。

 サーバーとはすなわち。

「なんで、先生の腕が真っ赤になってるんですかっ!?」

「僕のことはいいから、早く前を向いて! 次来るよ!」

「でもっ!!」

「また当たりたいの?」

 その先生の一言に私はすぐさま操縦桿を動かした。

 なんとか、敵の攻撃を避けることができた。

 美柚ちゃんの言葉が、頭に過ぎる。


『あんた、少しでも覚悟を持ってやってたのか!? わたしは命をかけて、全てをかけて戦ってたんだ。あんたは、その覚悟を持って、全てを知って、これに乗っていたのかっ!?』


 そんなの知らないよ。

 知らなかったよ。

 でも……知らなかったでは済まされない。

 怪我をしても、先生は私のサポートをしてくれてる。

 私は目の前の敵を倒さなくっちゃならないんだ。

 先生が怪我をしたのは、私の所為なのに……。

 涙が溢れてきて、目の前がうすぼんやりとしてしまう。


「沙奈っ!!」

「嫌っ!!」

 避け切れないっ!!

 そんな中、助けてくれたのは……美柚ちゃんだった。

 私の機体ごと、体当たりでぶつかって、敵の弾を避けることが出来た。

 美柚ちゃんの機体だって、無事じゃ済まないんじゃないじゃ……。


『目を覚ませ! 今は戦ってる最中だ!! 泣いてる暇があったら1体でも多く、シャドウガウルを倒せっ!!』

「わかったっ!!」


 こうして、私はなんとか2戦目も生き残れたのでした。

実はこういうシステムでした。

後ろにいる人、サポート兼HPでした。0になると死ぬよ?

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