第四話 真衣のお願い
おもしろいかどうかの話はおいといて
「アークスさんはなんで僕たちのことを知ってるんですか?」
「ん?ああ、私は騎士団に所属しているからね。その影響で知っていたのだよ」
なるほど。だからか。
ついでにいうと騎士団というのは日本でいうと自衛隊のようなやつだ。国の防衛をしているらし……
「ほら、また説明口調の考え事してるよ。ケイ」
……いいじゃないか。別に。
「それで知ってたんですか……でも、僕たち初日にここに来たときに自己紹介しましたよね。なのになんでさっき分からなかったんですか?」
「ああ、私はその日の前日から遠くの場所での任務があったからね。帰ってきたのがついさっきなんだよ」
へー。いわゆる出張ってやつかな?
「どこ行ってたの?」
「遠い場所さ」
だから答えてませんよ、それ。
「ふーん、アークスさんって強いの?」
「まあ、騎士団の中ではそこそこ上かな?さすがに隊長にはかなわないけど」
へー、じゃあ、真衣と同じくらいかな。
「じゃあさ、頼みたいことがあるんだけど」
「うん、なにかな?」
「ケイの剣の指導してください」
…………………え?
「いや、ちょっと待っ…」
「いいでしょう。お引き受けします。」
アークスさん!?
「真衣、なんで!?」
「だって強いほうがいいでしょ」
「いや、確かにそうだけど……」
「じゃあ決定。お願いします。アークスさん」
「任されました。では、さっそく」
まさか今から?
「ここでやりましょう」
「お願いしまーす」
なんか当事者の僕がスルーされてる。
「それではやりましょう。ケイさん」
「いや、僕はやりたくありませんよ!」
「願望だけでは生きていけません」
「そうだよ。人生なにがおこるか分からないんだから」
現実なこと言わないでください。
「もう、わかりました。やります」
僕がやる気表明をいうと真衣は満足げに笑い、アークスさんはよく言ったといわんばかりに頷いた。
「じゃあやりましょう」
「はい(泣)」
かくして僕は普段のルイネルさんの稽古という名の拷問に続きアークスさんとの個人レッスンを受ける羽目になった。