第一話 剣術の練習
僕と真衣がこの世界に召還されてはや一週間が経過した。その間僕たちは勇者としての力量を得るために剣術の練習を始めた。僕としては魔法を覚えたかったがそれはすごい難しいとのことだった。残念。それらの影響で剣術を始めたのだが………
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「わぁ、やっぱり無理!」
「逃げていては何も出来ません。ケイ殿!」
「いや、だったらちょっとぐらい手を抜いてよ!さっきから本気だよね!?」
「手は抜いています。ただあなたが逃げているだけです!」
…………と、僕はいわゆるドSの剣士さんことルイネルさんに学ぶことになっている。どうもこの世界に来てからの僕の扱いが割とひどい気がしてくる。
「はあ、はあ、はあ、はあ」
「なさけないぞ、ケイ殿。その程度でへばってどうする。戦場でそんなことをしていたら、間違いなく死ぬぞ!」
いや、戦場なんて行きませんよ。と思いつつ近くで殺陣をやっている真衣を眺める。
「はあー、真衣の方は順調なのにな~」
そう、なぜか真衣は上達が早く一週間ですでに騎士長の手ほどきを受けているぐらいだ。へばりまくりの僕とは雲泥の差である。
「そうですぞケイ殿!だからこそあなたも早く腕を上げるべきだ!」
なにがだからなんですか?
「無理ですよ。そもそも僕は攻撃方法が未だによくわからないんですから」
「それはたしかにそうともいえる。実際あなたは攻めよりも回避の方が上達がいい」
それって僕が逃げ腰だってことだよね。
「回避が上手くなっても攻撃が出来なきゃ意味ありませんよね」
と、僕が自虐的に口にすると
「いや、別にそれはそれで良いと思うが」
いきなりなんですか、ルイネルさん。
「戦場で生き残るには相手を殺すだけではなく相手の攻撃に当たらないことも重要。あなたは少なくとも回避技術はすばらしい」
誉めてるんですか?それ。
「まー、僕はあくまでもオマケですからね」
「オマケという立ち位置をもう受け入れているのか?」
なんで、驚くのですか?
「だって別に僕は目立とうという気持ちはありませんからね」
「ふん。変な奴だ」
鼻で笑ったね。この人。
「おかしいですか?」
「いや、それが貴様なのだろう」
うん、分かってるね。それが僕なんだよ。
「さて、では続きを始めるぞ、ケイ殿」
え、もう?
「いや~せめてもう少しだけ……」
「だめだ」
だめですよね、やっぱり。そして僕はドSの剣士との稽古の再開をし始めた。