表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おまけ勇者の奮闘記  作者: 緑光
序章 あなたの役割はおまけです
1/64

第一話 とばされた日

ダダダダダダダ。


軽快な足音が静寂を壊す。


ヒュン……ヒュン……ヒュン……。


その音は徐々にある者を追い詰める。


ズプシュ。


そしてその音はその者の息の音を止めた事を示す。




  ------------


「うわあああああああああ」


「ハア、ハア、ハア、ハア」


「はあー。また、あの夢か…」


  ------------



「アッハッハッハッハ。またその夢見たの?ケイ」


いくらなんでも笑い過ぎだろ


「うるさいな。見てしまうものはしょうがないだろ」


「ふーん。そう」


「え、何その冷たい態度?」          


「べつにーなんでもない」


この人は僕の数少ない友人の一人、庄司真衣だ。


「でもさあ、ケイ。もう何回目?その夢見るの?」


「今日ので通算八回目……」


そしてこの僕、三橋ケイは最近悪夢にうなされていた。具体的には夢の中で誰かに殺されるというもの


「ちょっとー。そんなに同じ夢見てたらいずれその夢が現実になるかもよ」


「いやいや、こんな夢が現実になったら最悪だよ」


こう僕は強く断言したが


「現実になったら最悪と思う前に死んでるでしょ」


と、切り換えされた。残酷だ


「本当にその通りになったらどうすんの?」


「骨は拾っとくよ」


「いや、もっと他にあるでしょ!」


「え?例えば?」


これだ。どうも真衣は常識が欠けている節がある

これだから常識人の僕が苦労するんだ


「そこは悲しむとかいろいろあるでしょ」


「えー、ケイが死んだら私も後追うから悲しむ暇はなーい」


はい?今何と…………え!


「いや、そこ、後追い自殺とかしなくていいから!」


こう僕が叫んでも


「じゃあ何自殺ならいいの?」


そういう問題ではないよ、真衣。


「そこは死んじゃだめ」 


「はーい。そんなことよりそろそろいそがなきゃ学校遅刻するよー」


え?…………本当だ!


「よし、真衣走るよ?」


「やだ」


なんで!?


「もうすこしここにいたらケイが夢で見た世界にいける気がする」


「いや、そんな予言的発言はいいから走るよ」


僕が呼びかけても、


「ケイも残っていっしょにいこー」


としか言わない。そんなの嫌に決まっている


「そんなことして……うわっ」


僕の言葉は最後まで続かなかった。何故なら突如としてそばの外壁に穴っぽいものが現れ僕と真衣を吸い込んだからで…


「わぁぁぁぁぁぁぁ」


「きゃぁぁぁぁぁぁ」


僕と真衣はその穴に吸い込まれていった


   

    ------------


「う、うーん…」


気がつくとそこはどこかの神殿っぽい場所だった

周りに人はおらず僕と真衣だけだ


「え………これって本当に別の世界に来たの?」


当然僕の疑問に答える声は無い


「どうしよう……あっ、真衣しっかりしろ」


僕が揺り起こすと


「うーん、後三時間……」


「いや、寝過ぎ!……じゃなくて起きて!」


「ふぁぁ、おはよー、ケイ……どこ、ここ?」


さすがの真衣もこの状況にはマイペースにいられないらしい


「わからない。多分どこか違う場所にトリップしたんだと思う」


「え!じゃあケイ死ぬの?」


いや、今その話題を出しても……(ガタ)ん?


「今何か音したな」


「うん。あっちからしたね」


(ダダダダダダダダダ)


何か沢山の足音がこっちに向かってる。


「何かヤバそうだねー」


そんな呑気なこと言ってないで


「取りあえず逃げるぞ。真衣」


と、僕は真衣の手を掴んで走り始めた


「オイ!待てー!」


何か待てとか言われているけどこの状況で待つやつなんかいるわけないだろ


「これってケイの夢が本当に現実になったのかな~?」


走りながら真衣がそんなことを言ってきた


「だったら捕まったら僕死ぬじゃん!」


こうしていきなり始まったリアル鬼ごっこ。鬼?から僕は真衣といっしょに逃げ出した


「いきなりこんなことはないだろー!」


僕の悲痛な叫びは誰にも(真衣にも)届かなかった



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ