回帰するドレイク
さぁさ、お集まりいただいた皆様!
干し芋みょーんの綴る最新作
戦士ドレイクの復讐劇をどうか長い目で見守りください...
ゲストの皆様♪
粉塵が舞う戦場...ここには戦士,魔法使い,剣士,騎士...様々な人物がいる。ここでは弱き者は簡単に淘汰され、強き者にはそれ相応の対価がある。そんな弱肉強食の世界で、この男ドレイクはたった一人で数百人を相手に戦っている。
「うおおぉぉらぁぁっっ!!!」ドレイクは巨大な大剣を振り回して敵を薙ぎ倒す。どれだけ強固な鎧さえも彼の前では豆腐のように破壊される。
クソッ...どんだけいるんだ...倒しても倒しても次々に来やがる...
ドレイクは既に4時間も戦場で闘っていたため、疲労が限界ギリギリにまで達していた...
この疲労の糸はいつ切れるかわからない...少しの反動でもほつれて切れてしまいそうな細い糸。
だが、そんな時にヤツが現れた。数百人をまとめ上げるクラン[神人闘争衆]の長...シューレだ。シューレが現れたことで戦場は一変した。ラグナロクの士気は上がり、ドレイクの疲労の糸は切れた。
「所詮、こんなものか」シューレのその一言と共に繰り出された致命的な一撃により、ドレイクは死亡した。
「クソがっ!」ドレイク...龍司はカプセル状の機械から出て悪態をついた。
そう、彼が闘っていた場所はゲームの中なのだ。[Real balance]略して[リバー]リアルのような感覚と全てのプレイヤーが公平な冒険というキャッチコピーのゲームだが、バランスもへったくれもないゲームだ。シークレットクエストをこなせば誰でもチート級のプレイヤーになれる。そんなぶっ壊れゲーム。
「腹...減ったな。とりあえず飯でも食いに行くか。」腹の音で気がついたが、もう昼だ。家には基本何もないため、店で何か買おうと外に出る。
アイツはなんであんなに強ぇんだ...
考え事をしていたのが悪いのだろう。赤信号を渡ってしまい、車に轢かれてしまった。鈍い音とともに体が宙に浮く浮遊感が襲う。
一体何が...体が熱い...死ぬのか...?
諦めかける...が龍司はドレイクとして5年生きてきた、生粋の戦士だ。一度負けた相手には勝つまで戦いを挑む。こんなところでは死ねない。
[戦士ドレイクの意志を確認。神柱の一人が呼びかけに答えます...]
謎のパネルが脳内に表示される。戸惑いながらも龍司は意識を失うまいと必死である。足を失っているというのに、苦痛を我慢して意識を保ち続けている。
[不屈の意志を確認。戦神が答えます...不屈の意志を取得。]
なんだよ...それ...
龍司の意識はとうとう失われた.....と思われた。龍司は勢いよく飛び起きる。実家のベッドの上だ。
「夢?いや、夢にしては鮮明すぎる...」
カレンダーを見ると、5年前のリバーの発売日だった。走馬灯かもしれないとも思うが、頬をつねっても変わらない。現実ということになる。そして、あの時のあのメッセージ...戦神とか不屈の意志とか...なんだったんだ...
「ま、これが神の采配だとしても知ったこっちゃねぇ。俺は俺として...戦士ドレイクとして生きるだけだ...」
そうして龍司は貯金片手に電化製品店へ向かった。