ダッチクロケット
2024年5月に家族でボゴールに旅行に出かけた。
ジャカルタから南にある山の方に車を運転していった。熱帯雨林の植物を扱ったテーマパークを訪れた際、昼食で訪れたレストランで見たメニューに興味深いものがあった。ダッチクロケットと書いてあって、わたしは迷うことなくそれを注文した。
クロケットはオランダの料理で日本のコロッケの基になった料理だ。ジャワ島ではRisolという料理があり、これもまた植民地時代にクロケットから派生したものだ。
日本にいたころ、仕事帰りによく半額になったコロッケをよく食べた。もう見たくないと思ったこともあるくらい、当時のわたしはコロッケを食べていた。日本のコロッケは中身がジャガイモで、外がサクサクしている食感を楽しむ。ソースは関西に住んでいただめウスターソースを使っていた。
ジャワ島に移住してからもたまにRisolを食べる。Risolもコロッケににているのだが、衣はしっとりしていてなめらかである。中身はピザまんのようにチーズや野菜、肉などの具材が入っていておいしい。スパイスが効いていて結構好きである。
さて、同じ料理から派生したとは思えないほどかけ離れているコロッケとRisolであるが、その母体となったオランダのクロケット(植民地当時)を模したダッチクロケットとは、どのようなものなのか。先にきたライチティーを飲みながら待った。
ダッチクロケットは日本のコロッケのような見た目だった。しかし、形はRisolのようにやや春巻きのように細長く、タルタルソースと塩コショウかかっていた。ナイフで割ってみると、なかには人参を中心に野菜の具がはいっていた。衣はややしっとりしている。
なんともともとのクロケット(植民地時代)はなめらかな衣の中に入っている野菜の味を楽しむ料理だったのだ。日本では中身がジャガイモで、外がサクサクしている食感を楽しむものに変化し、ジャワではスパイシーなピザ風料理に変化したわけだ。なんともおもしろい。なぜなら、なんだか言語の派生のように思えたから。
日本語で作文してみる。
わたしは明日の朝、オランダ領東インドに行かなくてはならない。
→明日の朝を先に言う日本語。そこから先まで聞かなければ主文はでてこない。なんだかコロッケのように中身と外にギャップがあるみたい。
Coba bikin kalimat bahasa Melayu (Indonesia)
Saya haru pergi ke Hindia Belanda pada besok pagi.
わたし マスト 行く へ 東インド オランダの いつ 明日 朝。
→まず行く必要があるんだという主文ががつんと来る当たり、やっぱりマレー語は正直でいいなと思う。
Risolだってそう。中身のおいしさで勝負をかけてくる。やっぱりおいしい。Risolを生み出した発想が
文法に現れている。
Ducth
Ik moet morgenvroeg naar oost Indie gaan.
わたし マスト 明日の朝 へ 東インド 行く
→マストなんだ、明日の朝なんだ、と情報を小出しにして素朴に伝えていくオランダ語。野菜のやさしい味を大事にしているあたり性格的に、ぽいなーとうなずいてしまった。
ともあれおいしかったダッチクロケット。ボゴールからジャカルタにかえってきてRisolを食べた。ごめんなさい。わたしにはやっぱりジャワの食べ物、人々。正直でおいしいRisolが合っているようだ。