ここちゃん、美波と美術館で大騒ぎ!?
今日は美波に誘われて、美術館に行くことになった。
「絵なんて、見方わからないぞ」
「作者の正解はあるかもしれないけど、見て感じたそれが正解だと思うよ」
「そんなもんかねぇ」
美波は美術部に所属しており、部長の岡部先輩に美術館のチケットをいただいたらしい。
「私この人の絵好きなんだぁ。抽象的なんだけど、まず絵をじっくり見るの。その後に、説明文を読んでもう一度絵を見るとね? 見方が変わるんだよ。すごくない? ねぇ、ここちゃん」
美波の話は途中から聞こえておらず、俺は受付のお姉さんと話していた。
「いやぁ、やっぱり絵っていいですよねぇ。あっ、高校生1枚。いや、美術館に来るような男は、もう大人の男ですよね。じゃあ、大人1枚で」
「何が大人1枚よ。ここちゃんはギリギリ高校生でしょ! すみません。チケットあります。ほら、行くわよ」
美波に耳を引っ張られて、俺は館内を進んで行く。
「うわぁ。何だこれ? なぁ美波? これ逆じゃないのか?」
絵を前にした俺は首を傾げ、すごい角度で鑑賞していると。
「ちょっとここちゃん。これはこういうものなのよ。で、どう?」
「う〜ん。俺の方がうまく描けそうだな。子供が描いたのか? これ」
「しぃぃぃ! これは抽象画だから、こういうものなの。作者さん、すごく有名な人なんだよ」
「有名な子供なのか」
「だから、子供違うっていうのに」
「なぁなぁ美波。これ描いた子供、大人になったら上手に描けるようになるといいな」
作者の行く末を案ずる俺。
「思い込みの激しい、子供みたいな大人にはならないで欲しいわね」
「何だそれ? 変なこと言うなよ」
「思い当たりなさいよ!」
俺と美波は、展示されている絵より注目を集めた。