ここちゃん、トイレの神様に願い事!?
「九、そんなに食べて大丈夫か? 腹壊すぞ」
「とうちゃん、食べ盛りの息子なだけ。心配いらないよ」
父親が持ち帰った、会社の人にもらったという土産の数々。
「九、気に入ってるようね。それ」
お茶を淹れてテーブルに戻ってきた母が声をかけてきた。
「かぁちゃん、これマジで美味いぞ」
「そうなの?じゃあ、それにしようかな」
父親がもらってきたお土産を中心に、和気あいあいしてゆったりした時間が流れていた。テレビを観て過ごしていると、ふとお腹に違和感を感じた。
「ん? 俺の腹どうした? 痛いかもしれないぞ!」
「九、どうしたの? お腹痛いの?」
「九、それは……食べ過ぎだと思うぞ」
「そうそう、食べ過ぎなら出したら治るわよね」
「かあちゃん、冗談は今、言ってる場合じゃないって」
「いやいや冗談じゃなくて本気です」
「トイレ行ったら治るわよ」
「かぁちゃん、トイレってそんな力あるのか!病院より凄いな」
「母さん、九は何を言ってるんだ?」
「いつものことだから適当に流しておけば良いわよ」
「とうちゃん、かぁちゃん。トイレ」
トイレ宣言をして、トイレの神様にお腹を治してもらおうとトイレに向かう。
居間でお茶を飲みながら、九の様子を話し合う両親の事など知らずトイレで叫びながら籠る。
「トイレの神様、この痛みを抑えてください。 治してくれたらありがとうって言いますから」
トイレで何やら喋りながら籠る息子に両親は
「完璧に食べ過ぎだわ」
「だろうな」
この後、数十分トイレでトイレの神様相手に話し続ける九の声が聞こえてきて、居間で笑いながら見守る両親だった。