短編集 Ｑ 〜憧れと雰囲気だけの名探偵は、華麗な推理にまるっと乗っかる〜

ここちゃん、春休みの願いは赤ちゃん返り！？

　春休みに入り、私もここちゃんも特にすることがなかったので、今日は二人で春休みにすること会議を開くことにしました。

「春休みって宿題無くていいんだけど、何したらいいかよくわからないんだよなぁ」

「好きなことしたらいいと思うけど、ここちゃんは何かしてみたいこととか

行ってみたいとことか無いの？」

「おいしいもの食べて、昼寝して、起きたらご飯食べるのしてみたい！」

「ほぼ赤ちゃんじゃないのよ」

「赤ちゃんほど何もしなくない！　自分でトイレくらい行ける！　失礼だぞ美波！」

　トイレに行ける赤ちゃんじゃんと思いつつ、張り合うようなことでもないので、私がしたいことを話すことにしました。

「せっかくだから、景色の良いところでお弁当食べたりしたいなぁ」

　最近は少しずつ暖かくなってきたので、外出も苦ではなくなってきたし、桜はまだ咲いてないけど、そろそろ花もほころんで来る季節だから丁度いいと思いました。

「よっこいしょ」

「ちょっとここちゃん！　お昼寝しようとしてない？　何で横になるのよ」

「だって縦になるの飽きたんだもん」

「今まで起きてることを縦になってるって認識してたの！？」

　ここちゃんを理解するには、未だ謎が多いようです。

「すぐ寝るとかやっぱり赤ちゃんじゃない。話せる赤ちゃんね」

「おい！　美波っ！」

　赤ちゃんと呼ばれるのがそんなに気に障ったのか、ここちゃんは急に立ち上がりこう言いました。

「赤ちゃんじゃないから、自分でトイレ行ってくる！　しばしご歓談を！」

「誰とよ！」