ここちゃん、一人勝ち!?
明日クラスでディベートをすることになったのですが、ここちゃんはよく分かっていないらしいので、これから練習することにしました。
ちなみにディベートとは、テーマに沿って肯定派否定派に分かれて議論することです。
「つまり口喧嘩ってことだな?」
「明日、口喧嘩しますって先生言ってないでしょ! 何なのよその宣戦布告は」
と、まぁこんな感じで始まった訳です。
「テーマは俺が決める! ずっと謎だったことがあるんだ!」
ここちゃんの謎は、ここちゃん以外には問題にならないことが多いのですが、言い出したら聞かないのがここちゃんなのです。
「テーマは、宿題っている? です!」
「そもそもここちゃん、宿題してないじゃん」
「もちろん! 宿題お忘れの皆勤賞狙ってるからな!」
「そんなワーストチャンピオンを誰が表してくれるのよ!」
「そしたらテレビの取材とか来ちゃうなぁ。なぁ美波!? 俺売れちゃうな!」
「どのジャンルでよ!」
皆さんお気付きの通り、いつになったらディベート始めるんだと、私も皆さんと同じ意見です。
「テーマも出たことだし、早速始めよう。ここちゃんは宿題いらない派で、私がいる派ね」
「宿題いるとか意味がわかりませんな! だいたい授業が一コマ五十分もあるのに、その他に宿題を出すなんて、何を考えているのやら!」
ここちゃんは変なキャラを演じながら、宿題否定派として拳を振り上げました。
「宿題やったら理解力が上がるし、問題を解いて成功体験を重ねることで自信もつくし、何より! 成績が上がることで、長期休暇中の補習を受けなくてすむわよ!」
「えっ!? じゃあする!」
「それじゃあディベートにならないでしょ!」
「美波は俺に宿題やって欲しいのか、やらないで欲しいのかどっちなんだよ!」
「それは……やって欲しいわよ! いやいや、そういうことじゃないのよ! いや、そういうことなんだけど。違うのよ!」
結局、何の進展もないまま数時間が過ぎ──
「美波はぐうの音も出ないから、俺の勝ちってことでいいか?」
「正確には私の勝ちなんだけどね」
「ということで。さぁ、宿題するぞぉぉ!」
「……今日ないわよ」
明日の本番、ここちゃんのディベート無双が少しだけ楽しみになりました。
きっと、ここちゃん対全クラスメイトでも、ここちゃんのペースになるのでしょう。




