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ここちゃん、お返しと悶着!?

 今日はホワイトデイです。


 私と英里ちゃんは、バレンタインに手作りチョコをここちゃんに渡しました。


 今日はそのお返しを用意したから、お楽しみにとここちゃんに言われています。


「美波ちゃん。九君のお返しって何だろうね?」


「お楽しみにって、自分でハードル上げるくらいだから、よっぽど自信があるんだよ」


 ここちゃんのホワイトデイのお返しは、毎年決まってクッキーなのですが、隣で楽しみにしている英里ちゃんを見ると口が裂けても言えません。


「そういえば英里ちゃん。ここちゃんにもらったカイロ、まだ使ってないんだって?」


「うん。もったいなくて、結局別のカイロ買っちゃった。えへへ」


 お金の方がもったいない気もしますが、英里ちゃんがそれでいいなら、外からとやかく言う事でもないかと思い飲み込みました。


「お〜い! 美波〜! 笹羅〜!」


 小さい紙袋を二つ持ち、その持った手をブンブンと振りながら駆け寄って来たここちゃん。


「悪い悪い。途中で先生に捕まっちゃって、宿題やってないだけであんなに怒らなくてもいいのに。先生も諦めが悪いな。こんなに宿題やってこないのに、今更やると思ってるのかね?」


「やんなさいよ! 何を先生に諦めさせようとしてるのよ!」


「九君。よかったら……私の宿題うつし……」


「英里ちゃん。ダメよ! そんなことしたらここちゃんが図に乗るだけなんだから」


「美波のおケチ! 優しい笹羅には、これをあげよう。フォッフォッフォッ! 一年間おりこうにしてたら、来年もやって来るからね」


 人差し指と親指であごを擦る真似をするここちゃん。


「サンタさんの登場イレギュラーすぎるんだけど!」


「あとこっちのが美波のな」


「私には雑ね。まぁいいけど、ありがとう」


「ありがとう九君。大事にするね」


「おう。うまいぞ! 俺の手作りクッキー」


「こ……九君の……手作……り」


 先月もらったカイロですら使っていない英里ちゃんのことだから、手作りクッキーもきっと、食べずに取っておくのではないだろうか。


「味の感想聞かせてくれよな? 俺はこれから、先生ともう一悶着してくるから。じゃあな!」


「えぇぇぇぇぇ!」


 感想を伝えるには食べるしかない。でも食べたら手作りが無くなってしまう。英里ちゃんの葛藤が、今までで一番大きな声となってこだました。


「悶着してくるって何!?」


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