ここちゃん、先っぽどこいった!?
今日はここちゃんが手袋を買いに行くからついてきて欲しいと頼まれたので、アパレルショップに来ています。
「手袋って言っても、いろんな種類があって悩むなぁ」
「デザインなのか、機能性なのか、お値段で選ぶのか。ここちゃんはどんなのがいいの?」
「指が五本入るのがいい!」
「ミトンが除外されただけで、選択肢が全く減らない答えね」
手袋を前にこんなやり取りをしていると、店員さんがやって来た。
「何かお探しですか?」
「こういう形の物を探しています」
ここちゃんは店員さんに向かって、手をパッと開いて見せた。
「見つかるといいですね」
そう言って店員さんは仕事へと戻って行った。
「ねぇ、ここちゃん。今の店員さん何だろうね? 見つかるといいですねって言っただけで、選んでくれたりとかじゃないんだね」
「あんなこと言ってくれる人いないよな」
「えっ? まぁそうだけど。あれだったら声掛けて来なくてもよかったよね?」
「美波。俺はお前をそんな子に育てた覚えはないぞ」
「私も育てられた覚えはないわよ!」
すると、さっきの店員さんが再びやって来た。
「手袋を買われるお客様は、手を温めたくて買われていきます」
「あっ! それ俺も同じです!」
「あと皆さん、両手分買われていきますよ」
「えっ! またまた同じだ! 何か怖くなってきたなぁ」
「私はもうちょっと前から怖くなってきてたわよ」
もうどれでもいいから手袋を買って、早く店を出たいと思っていると、ようやくここちゃんが決めてくれました。
「俺これにする!」
「ありがとうございます! とってもお似合いですよ」
「選んだだけでお似合いって! ん? ちょっとそれ指先出てるやつじゃない!」
「かっこいいだろ? 俺のために作られたみたいだな」
「ええ。そちらオーダーメイドですので」
「誰のオーダーメイドよ! それ売っちゃだめでしょ!」
イライラとする私の脳裏に、もう私が作るしかないと浮かんだのですが、出来上がりが手袋を必要としない季節になりそうだったので即却下しました。
「指無い分お値引き致します」
「どんなお店なのよ!」




