ここちゃん、かゆかゆの段階!?
「ここちゃん、いい加減に眼科行きなよ」
「この後、行くつもりだけど」
ここ最近、目が痒くて市販の目薬でも効果が出なくて充血まてしてきたため、俺を見かけた人は口々に眼科に行けという。仕方ないそろそろ行ってこよう。勇気を出して眼科の中へ入っていく。
「診察券はお持ちですか?」
受付のお姉さんが、語りかけてきた。
「初めましてです」
「それじゃあ保険証をお願いします」
鞄から保険証を出して受付のお姉さんに渡す。問診票の記入をしてくださいと言われ椅子に座って質問に答えていく。
「うんうん、名前ね、兵衛 九」
[どうされましたか?]
「うんうん、目がかゆかゆで充血もある」
こんな感じか? 良い調子だぞ。その他諸々質問に答えて記入を終えて受付に持っていく。
「順番にお呼びしますので掛けてお待ちくださいね」
待合室の椅子に座り、落ち着いていたら、診察室からただならぬ様子が……
「いやだぁ〜」
診察室から悲痛な子供の叫び声とそれを宥める看護師の声が。
「それじゃあ、お目々診せてね」
「いやだ」
「すぐに終わるからね」
「1分?」
「1分では診れないなぁ。良い子にしてたらすぐ終わるからね」
「ぼく、良い子だもん」
「そうだね。それじゃあ診るよぉ」
うわっ、ここは患者の意見を全く聞かないんだな。かわいそうに。いや、待てよ。もしかして俺の時もそうなのか?
「いたい〜。嫌だっていってるじゃん。おわりぃ〜」
なんですと! 痛いのか!無理やり何かされているんだな!頑張れ!ここから君のことを応援してるから負けるんじゃないぞ!
「嘘つき!すぐ終わるって言ったぁぁ」
なんですと! 嘘つくのか?大人気ないぞ。幼い子供に大人が嘘をつくなんてあってはならん事ではないのか!?
「はい、おしまい。頑張ったね。また来週来てね」
診察室で格闘をしたであろう男の子がお母さんと共に診察室から出てきた。この子の背中にそっと『よく頑張ったね。花丸だぞ』と語りかけた。
診察室のとびらが開き看護師さんが
「兵衛さん、兵衛九さん診察室へどうぞ」
「はーい」
診察室に入ると先生が
「こちらにお座りくださいね。荷物はそちらのカゴにどうぞ」
「よろしくお願いします」
そう言って先生の前の丸椅子に腰掛けた。そうすると先生は俺の顔を覗き込み
「痒みは10段階にたとえたら、今はどれくらい?」
ん?先生面白い聞き方するんだなぁ。そうだなぁ。6かゆかゆかなぁ。いや、待てよ充血するくらいだからなぁ7かゆかゆかも知れない。
「6か7って感じです」
「ちょっと診察していくね」
看護師さんが俺の頭を動かないように固定する。
おいおい、そりゃさっきの子も大泣きするよ。俺だから頑張れるけど、いきなり頭ガッシリ掴んだら泣いちゃうよ。
「あ〜、痒くて目を擦っちゃってるね。傷ついてるね。1日4回の点眼で経過観察にしましょうか。2週間後に受診してください」
「はーい、ありがとうございました」
よし、頑張った!自分で褒めておこう。九、偉かったぞ!ふふ〜ん。
会計をして目薬をもらって、ここちゃんの眼科受診は無事終了。
目薬をもらって満足して点眼するのを忘れてしまいそうになるのを、美波やかぁちゃんに、指摘を受けながら無事に過ごすことができている。次の受診日まで頑張れ俺!




