ここちゃん、コッペパンとピィ!?
今日はここちゃんの靴を買いに、商店街の靴屋さんへとやって来ました。
「このままじゃ靴の裏がなくなっちゃうな」
「どうやって歩いたら、そんな減り方するのよ」
靴なので、食べ物に例えるのもどうかと思いますが、これはもはや白コッペパンの様を呈しています。
靴の裏の凹凸が無くなり、全体が均等に擦り減っていて、真っ白なコッペパンのように綺麗です。
「さぁて、どんな靴にしようかな」
「滑らない靴にした方がいいよ。まだまだ道路凍ったりするし」
「ほうほう。そうなると、ブーツ系かな?」
「あっ、確か校則でブーツ禁止だったはずだよ」
理由は分かりませんが、皆さんの学校にも、謎の校則ってありますよね。生徒手帳に記載はあっても、存在すら知られていない校則。ブーツ禁止もその中の一つです。
「じゃあ他のだな。うわっ! これすごいぞ! 歩くと光るんだってよ! こっちは足が速くなる靴だって!」
「全部小学生までって感じね」
「そんなこと言うなら、美波が選んでくれよ」
ここちゃんから足のサイズを聞き、奇抜過ぎず、冬の時期でも安心して履ける靴を探していると。
「あっ、これでいいんじゃない?」
「そっ、それは……」
ピィィィ──
歩くとピィピィ音が鳴る靴を差し出す私。
「ここちゃんはどうせ、すぐ迷子になるから、これ履いてたら居場所が一発で分かるね」
「残念でした〜! そちらは校則違反でした〜! サイズがあれば履いてやったのになぁ!」
「そんな校則ないわよ!」
「えっ! じゃあ履いていいのか!?」
「履きたかったんかい!」
結局、一連の流れを見ていた店員さんが、良さげなスニーカーを選んでくれたおかげで、ここちゃんは満足そうにしています。
「音の鳴る靴を履かなくても、ここちゃんは存在感があるから、どこにいてもすぐ分かるんだよね」
色んな意味で目立ってしまうここちゃんといると、毎日飽きることはありません。
「お〜い! 美波。クレープ食べて行こうぜ」
「待って〜。ここちゃん!」




