表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

34/64

ここちゃん、白猫事件!?

 私の家の裏は空き地になっていて、ところどころ草が生えている場所があります。最近そこに猫ちゃんがよく現れるので、学校から帰ると何となく外を覗くようになりました。


「今日もいる。白くてきれいな毛色の猫ちゃん」


 外はすっかり暗くなり、景色をはっきりと確認することは出来ませんが、真っ白な猫ちゃんは、いわゆる香箱座りでじっとその場から動きません。


「もしかしたら、お腹を空かせているのかな。何か冷蔵庫にあったかな」


 一階に下り、自分用のあたたかい飲み物の他に、猫ちゃんにあげられる物はないかと探していると、チーズを見つけました。


「調べたらチーズを食べても大丈夫って書いてるから、これをあげよう」


 急いで部屋に戻ると、窓を開けてチーズを持っているアピールをした。


「反応なしか。それじゃあこれでどうかしら?」


 チーズを一口サイズにすると、狙いを定め猫ちゃんへと投げた。


 しかし、顔のすぐ近くへと落ちたのだが、微動だにしない。


「お腹減ってないのかな。それならいいか」


 と、その時、一陣の風が吹いた。


 砂埃を巻き上げ、木の枝や葉を揺らしながら近づいて来る。


「猫ちゃん大丈夫かな」


 窓を閉めて安全を確保した状態で、猫ちゃんの様子を窺っていると。


「猫ちゃんが飛んだぁぁ! っていうか飛んで行ったぁぁ! ん?」


 飛んで行った猫ちゃんをよく見ると、その正体に自分が恥ずかしくなった。


「白いビニール袋じゃん! 私あれにチーズ投げてたの!? まぁ本当の猫ちゃんじゃなくてよかったよかった」


 こんなところをここちゃんに見られたら、どんなイジり方をされるか分かったもんじゃない。


 私は何事もなかったかのようにカーテンを閉めると、飲み物を口にし、一息ついた。


 ♪──

 ♪──


 このタイミングでスマホが鳴り、液晶画面にここちゃんの名前が表示されている。


「まさか見られてた? もうしょうがないか」


 覚悟を決めて着信ボタンをタップした。


「はい。ここちゃんどうしたの?」


「美波っ! 俺見たんだ!」


 やっぱり見られていたかと思い、敗戦処理のように通話を続けた。


「いや、それなんだけど……」


「今、窓の外を白い猫が飛んで行ったんだよ! 美波の家の方から飛んで来たから、美波も見たかと思って!」


「へっ!? い、いや〜。私は見てないなぁ。不思議なこともあるんだね〜」


「だよな! 空飛ぶ白猫事件だ!」


 同じような勘違いをここちゃんもしていたことに、思わず口角が上がり、ほっこりしました。


「俺興奮して、明日の朝起きれるかわかんないわ!」


「寝れはするんかい!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ