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ここちゃん、キラ☆ピカのお手柄!?

 今日、美波は部活がどーのって言ってたし、先に帰ろう。


 鞄を持ち教室を出る。廊下を歩いていると美術部員が画材やキャンバス、イーゼルを持ち歩いているのが目に入った。


 すんごい荷物なんだなぁ。美術部っていうより引越し業者だな。そんな事を思って通り過ぎる。


「帰ろう帰ろう」


 すると帰り道で不思議な出来事がここちゃんの身に起きる。


 ここちゃんの数メートル前を歩く年配の女性。その後ろにキラキラド派手はスマホケースに収まっているスマホが落ちている。


「あのばぁちゃんのではないなぁ。キラキラピカピカで目がチカチカだもんな。ばぁちゃんには目の毒だな。派出所に届けてあげよう」


 スマホを拾い目の前の派出所にいく。


「キラキラピカピカのスマホ拾いました」


 元気に入っていくと、奥から出てきた警察官に丁寧に説明をした。


「僕の歩く目の前に、このキラキラピカピカのスマホが落ちていたので届けにきました。きっと、落としたお姉さん困ってると思います。よろしくお願いします」


 そう言って、キラキラピカピカのスマホを警察官に渡す。


「それじゃあ、拾った場所はどこかな?」


「ここを出て左側の道32歩、歩いたところの道路ど真ん中です」


 警察官の人は、メモを取りながら。


「君、とっても細かく教えてくれるね」


「しっかり伝えなくてはいけませんから」


 真剣に質問に答えるよう心がける。


「君の名前を教えてもらえるかな」


「兵衛九、星見台高校2年生です」


 このようなやりとりをしていたら、派出所の扉が開き、数メートル先を歩いていた年配の女性が現れた。


「スマホ届いてないですか?」


 その言葉を聞いて警察官が。


「どのようなスマホですか?」


「派手で恥ずかしいんですけど、キラキラしてて、ピカピカしてて、目がチカチカするケースに入ったスマホです」


 ここちゃんが説明したそのままの説明が返ってきた。


「コレですか?」


 そういってスマホを年配の女性の前に置く。


「そうそう、これです。これこれ」


「こちらの高校生の子が拾って届けてくれたんですよ」


 嬉しそうにしている年配の女性に警察官が説明してくれた。


「ありがとうね。本当に助かりました」


 そう言いながら手提げから箱を取り出し、そこからシュークリームをひとつ取り出した。


「お兄ちゃん、これ良かったら食べて。ここのシュークリームとっても美味しくて気に入ってるからよく買うのよ。お兄さんのお口にも合うと良いんだけど」


「わぁ、良いんですかぁ。シュークリームちゃん、もらっちゃって」


 そう言いながら、両手はもらう気満々で頂戴の型をしている。


「どうぞ。ほんとにありがとね。助かったよ」


「ばぁちゃん、ありがとう」


 そんなふたりの様子をあたたかい気持ちで見守る警察官は、世の中、嫌な事件が多い中、この地域はまだまだ捨てたもんじゃないなぁと思った。


 むき出しのシュークリームを手に乗せたここちゃんは、いいことをしたなぁと笑顔で帰路につきました。


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