ここちゃん、おしゃれ上手!?
今日は福袋を買いにショッピングモールまで来たのですが、隣にここちゃんもいます。家を出る直前、突然行きたいと言い出したため、こうして仕方なく一緒にいるのです。
「ゆっくり服とか見たいから、本当は一人がよかったんだけどなぁ」
「ん? 何か言ったか? 美波も福袋買うんだろ?」
「“も”ってことは、ここちゃんも福袋狙いだったの?」
以外でした。ここちゃんは普段ファッションに全く興味が無く、この間なんか前面に大きく『おかわり』と書かれたネタTシャツを着ていたのです。
「帰りにはおしゃれさんになっちゃうな」
「買う物によるけどね」
今回は私もいるし、変な服を買いそうになったら止めればいいかと思いながら、目的のお店の前まで辿り着きました。
「じゃあ早速、美波の下着から……」
「なっ! 買うにしても一人で選ぶわ! ほらほら自分の服を選びに行きなさい」
スケベここちゃんは放っておいて、私も福袋を選びに向かおう。
「と言っても、チラシで福袋はチェック済みなのよね。お気に入りのブランドのバッグも付いてるなんて、これは絶対ゲットよ!」
小さくガッツポーズをすると、お目当ての福袋目掛けて一直線に歩き出す。
「あった」
福袋コーナーには色んなブランドの袋が並んでおり、その中に、私が探していた物は一つだけ残っていた。
「ラスト一つとマッチング。なんて運がいいのかしら。やっぱり初詣のおみくじ効果かな。ふふふっ。それではいただきます」
と、私が手を伸ばした時でした。
「あっ」
「あっ」
同時に同じ福袋に手が伸び、相手と顔を見合わせた。
「英里ちゃん!」
「み、美波ちゃん!?」
同じクラスの笹羅英里ちゃんも、私と同じ福袋を買いに来ていたみたいです。
「英里ちゃんもこのブランド好きなの?」
「あっ、うん。でも美波ちゃんいいよ、買って」
「じゃあさぁ、これ買って二人で分けようか。私はバッグ狙いだったんだけど、英里ちゃんは?」
「私はチェックのパンツがかわいいなって思ってて」
二人の利害が一致し、私達は無事に福袋を手にすることが出来ました。
「へぇ〜、笹羅はおパンツ買ったのか」
「ひぇっ!」
「ちょっとここちゃん! おパンツじゃなくてパンツよ。パ・ン・ツ! このスケベ! さぁ、英里ちゃん行きましょう。あっ、家来る? 二人で女子会しよう」
私は英里ちゃんの手を引くと、足早にその場をあとにした。
その後分かったことなのですが、ここちゃんがこの日買った服は、全面に大きく『おかわり』と書かれたスウェットでした。
「それ持ってるじゃん!」
「スウェットの探してたんだ」
探すなよと思いつつ、やっぱりここちゃんの服は、私が見立ててあげようと心に決めた一日でした。




