ここちゃん、ありがたくいただく!?
一月七日は七草がゆを食べる日ということで、お母さんに教えてもらいながら、何とか失敗せずに作れました。
以前、ここちゃんと餃子を作った時、最終的に石炭が出来上がってしまい、それ以来、ここちゃんは私の料理の腕を信用していません。
なので今回は作った物を写真に撮って、ここちゃんに送信しました。
すると『うまそう。今から行く』と返信があり、ここちゃんは家へやって来たという訳です。
「いただきまぁす!」
「召し上がれ。味はどうかな? 教えてもらいながら作ったから、大丈夫だと思うんだけど」
味見もしたし、自信もあったけど、ついつい餃子の件が頭をよぎり、饒舌になってしまう。
「おいしい。でも何でおかゆなんだ? 風邪でもひいたのか?」
「今日は七草がゆを食べる日なんだよ。年末年始、味の濃いものばっかり食べてたでしょ? だからおかゆを食べて、胃腸を労るんだよ」
「ななくさがゆねぇ」
「春の七草って言われる食材を入れたおかゆよ。せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ。この七種類よ」
「美波……お前。仏様をおかゆに入れたのか? バチが当たるぞ。あっ、でもあれか? 食べることで逆にありがたいのか? で、どれが仏様なんだ?」
そんなわけあるはずもないことでも、ここちゃんは真剣に口にします。
「そんなことしたらバチしかないわ! ちなみに、すずな、すずしろは、かぶと大根のことよ」
「またまたぁ。騙されないからな。スーパーでそんな名前じゃ売ってないだろ! あっ! わかった! ドッキリだな? 全く新年早々、美波はお暇だなぁ」
「ドッキリ違うわ!」
「じゃあ仏様ってなんだよ」
「仏様は…………って、いやいや、仏様違うっての!」
こうしてよく分からない七草がゆを食べる日は終わり、来年になれば、七草がゆより仏様を思い出すのでしょう。
「なぁ美波。仏様って……」
「うるさいうるさい! もうそれ全部仏様だから!」
「なんですとっ!」
ここちゃんは今年から、七草がゆを食べるとき、よく見て食べるようになったそうです。




