ここちゃん、おしるこ専門店開店!?
新年を迎えると、ここちゃんの家へ挨拶に行くのが、私の恒例行事となっているのですが、昨日も一緒にいたので特別な感じはしません。
「ここちゃん。あけましておめでとう」
「おぉぉ、美波。ハッピーニューイヤー、アンドあけましておめでとう」
「何がアンドよ。それ同じこと言ってるよ」
年明けからここちゃんはこんなです。
私の家はお正月の飾りをあまりしないのですが、ここちゃんの家はしめ飾りや鏡餅もしっかりと飾っています。
「時に美波さん」
「ん? 何よ改まって」
ここちゃんは両手のひらを出して、もじもじしだした。
「もう俺もさぁ、お年玉もらえるお年頃だろ? だからくれたりするかなぁって」
「同い年なんだから、私もそのお年頃じゃないかしら? ありがとうここちゃん」
そう言いながら私も手を突き出した。
「み……美波。本気でそんなこと言ってんのか?」
「あんたは本気だったでしょうよ!」
私は呆れながらも、持っていたバッグから預かっていたポチ袋を取り出した。
「はい、ここちゃん。家のお父さんとお母さんから。今年もよろしくねって」
「おぉぉ! ありがとう! 今年一番うれしい!」
「元日から今年一番出さないでよ! 残りの364日が心配になるわ!」
ここちゃんは嬉しそうに受け取ると、自分のポケットからポチ袋を取り出し、私に渡してきた。
「いや〜渡そうか迷ったんだけど、とうちゃんと、かぁちゃんが美波に絶対渡せって言うから」
「ここちゃん。心の葛藤全部話してるよ。でも、ありがとう。おじさんとおばさんには、今度会ったらお礼言うね」
ここちゃんのご両親は、二人で初詣に行っているらしくお留守でした。
「美波。おしるこあるぞ。食べていくか? おしるこ専門店よりおいしいぞ」
「そんな専門店聞いたことないけど、おしるこ大好きだからいただこうかな」
「おう。あがれあがれ」
「おじゃましまぁす」
今年もおいしい……じゃなかった。楽しい一年が送れそうです。
「500円な」
「お金取るんかい!」




