ここちゃん、ここは何処!?
「広すぎて、何が何処にあるんだ?まっ、適当に歩いてたら見つかるな。うんうん、俺に解けない事はないもんな。そうだそうだ」
ひとり目的のお店を探して、ショッピングモール内を歩き回る。その時、目に映ったひとりの男の子。迷子か? 心細いよな。優しい俺が解決してやるからな。
「どうしたの? 誰かとはぐれちゃったのかな?」
「えっ?違いますけど」
「またまたぁ、子供は恥ずかしがらなくて良いんだよ。天使のような優しいお兄さんがズバッと解決してあげるからな」
「いや、だから迷子じゃありません」
「うそっ、そうなの?」
「はい」
俺に遠慮しているのか?そうだよな。いきなり知らない親切な天使のお兄さんに声をかけられたら。ドキドキして遠慮しちゃうわな。
「お兄さんこそ、ボクに関わってて良いんですか?自分の用事を済ませたらどうなんですか?」
「はへっ!? そうだね。ご親切にありがとう」
深々と頭を下げて、本来の目的を果たすため、売り場さがしを再開させた。
「う〜ん、広すぎて同じとこ周ってるような気がしてきたぞ」
辺りを見回していると、先ほどの男の子がこっちを凝視していて九と目が合うと
「お兄さん、案内図で確認したらどうですか?」
「えっ、君、めちゃめちゃ凄い事を教えてくれてありがとう。それじゃあ、案内図探しに行こう」
本来の目的を忘れて案内図探しに取りかかる九。
「あのお兄さん、案内図見つけたら満足しそうだね」
「あはは、さすがにそれはないでしょ」
親子にひとときの安らぎを与えてる事を知らない、何処にいても相変わらずな九だった。




