表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/64

ここちゃん、ここフェス開催中!?

「ふんふんふん♪ ふんふんふん♪ はい、美波。今のは何の歌でしょうか?」


「えっ、出題されてると思ってないから聞き逃しちゃった。もう一回歌って」


 ここちゃんはこうして、たまに鼻歌イントロクイズを開催してきます。ちなみに難易度は激ムズです。


「せーの。ふんふんふふふん♪」


「ストップストップ! 何せーのって。ひとりだよね? 誰と合わせてるの? あとさぁ、さっきと違くない?」


「俺の中のオーケストラ……あっ、オーレストラを指揮してやらないとな」


「その“オーレストラ”って、今思いついたでしょ? あっ、て言ってたもんね。うまくもないし。よくて鼻歌合唱団てとこね。ひとりだけど」


「美波はネーミングセンスがないな」


「誰が言ってんのよ! 鼻歌の方はわからないから、ヒントちょうだい」


 ここちゃんに降参はしたくなかったので、ヒントをもらい解くことにした私。


「ヒントはそうだなぁ。さっきと違う……かな」


「やっぱりそうだよね。違うよね。私さっき言ったよね、それ」


「おっと美波選手。興奮しておりますが、未だ正解はせず。このままお茶を濁すつもりかぁ?」


「すごく嫌な司会者ね。あと選手って何よ」


 ここちゃんは、マイクを持ってるふりをしながら、私にコメントを求めてきた。


「それでは答えを張り切ってどうぞ! ビリになったら罰ゲームあるから気をつけるんだぞ?」


「待て待て待て。私は個人戦でお送りしてきたつもりなんだけど、ビリになる可能性あるの? 誰と戦ってるのよ。それから罰ゲームの件は聞いてないんだけど!」


 そんなことよりと言わんばかりに、握りしめた拳を私に伸ばしてくるここちゃん。


「ひとには答えさせようと詰めてくるのに、自分は答えないスタンスの司会者か。まったく、じゃあいいですよ。答えは……」


「今のでよろしいですか?」


「どこ切り取って答えとしたのよ。答えは、ここちゃんの思いつきです。つまり適当!」


「美波選手、ハズレですが、答えを発表致します! 正解は……」


「下手か! 先に不正解発表してるじゃん! もうドキドキしないわ」


 ひとり司会者を満喫中のここちゃんは、たっぷり間を取ると、ちらりと腕時計を確認。


「あっ、もうこんな時間か。じゃあな美波。また明日な」


 そう言うと司会者は、まさかの途中退場をし、何とも言えない気持ちだけが私の心を支配した。


「ちょっと、正解は? 罰ゲームは? 何、この時間。もやもやするわぁぁ!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ