夜のひかり
神戸へ彼と夜景を見に行って、あれから2週間後。
今日はその彼が、今年1年お疲れさまって摩耶山の夜景を見に連れてってくれることに。
いつもどおり仕事も終わり、約束は19:00にわたしの家の近くの車を止められるバス停近く。
ヒートテックにセーター。暖パン。上はダウンしっかり着て手袋に毛糸のスヌード。
足元はムートンブーツ。
防寒対策はばっちり。
お化粧も少し直したし、軽くおにぎり食べたし大丈夫。
もうそろそろかな。
「帰る時メールするね!」
「寒いから気つけてね。」
母と会話して玄関を出る。
摩耶山初めてだなあ。。
今日もあったかいお茶買わないと。。
近くの自販機でペットボトルのお茶を2本。
ガコン!
いつもどおり。
さむいなあ。。
いつもの場所で風を冷たいなあと思いながら、彼の車を待つ。
今日は彼おやすみやっけ?早出だったかな。。
おつかれやないとええけど。
あ。。!
見慣れた車がそばに止まる。。
ウィンカーがチカチカ。。
ドアのそばに寄って
ガチャ。
「ありがとう。こんばんは。渋滞大丈夫やった?」
「いつもどおりやわ。寒かったやろ。はよはいり。」
トスンとシートに腰を下ろして、シートベルト。
カチャ。
「よし、ほな行こか。」
「うん!」
この前と同じように神戸方面へ。
「仕事つかれたやろ?おつかれ。」
「ううん。大丈夫やでー。相変わらず、怒られてるけど。。」
「じぶん、えらいなあ。。ぼくもたまに怒られるけどな。」
この間はお昼からデートやったから夜のデートはちょっと緊張するなあ。。
外も暗いし。。
景色が見慣れないエリアへ変わっていった。
芦屋の方を通って車が山の方へ上がっていく。
わ。。
よく曲がってる。。
「結構、カーブきついね。」
「うん。調べたら山の上に駐車場あるみたいやから。」
「いつも調べてくれてるんやね。ありがとう」
「パソコンで調べたらすぐ分かるから。」
ぐるぐる山の斜面を、登ってるみたい。
家族で六甲山に車で来たことはあるけど、摩耶山は初めてだから慣れない山道にちょっとこころが緊張してる。
あ。。
あれが駐車場かな。
いつものように彼が上手に車を停めた。
「運転上手やんね。」
「じいちゃんとか家族とも乗せて、いろんなとこ連れてくから。」
「えらいね、わたしも親が歳とってるから、色々考えんとなあ。」
「せやなあ。あ、寒いけど外に出れそう?」
「うん。大丈夫。」
ドアを開けて外に出ると外気は冷たい。
「山の上はやっぱり寒いね。よく場所とか調べとるね。すごいなあ。」
「せっかくの機会やしと思ってさ。」
ふたりで展望台に向かって歩いていく。
すれ違いに山を降りる人を見かけたり、同じように展望台を目指す人がいたり。
くっついたり、離れたりとことこ彼の隣をついていく。
10分ぐらい歩いたかなと思ったら。
「あ、ここやで。」
「うん、なんかぼんやり山の下の灯りが見えるね。」
展望台の縁まで行って見下ろすと。
「わあ、これがあの有名な六甲の夜景なんやね。」
きらきら、宝石箱のようなきれいな夜景。
1000万ドルの夜景って言われるだけのきれいな灯り。
「すごいねえ。…わ。」
後ろを振り返ると彼がぎゅっと身体を温めてくれた。
温かくてやさしい。
こんなことしてもらうのも初めてだ。
やさしい空間だな。
「あ、ありがとう。大丈夫やで」
「りー、夜景の写真撮った?」
「携帯の電池切れそう…。」
「撮っておいたから、帰ったら送っておくな。」
すーっと、彼が離れたと思うと。
「今年もありがとうございました。また来年もよろしく。」
「あ、はい!」
こんなことも初めて。
もしかして色々心配してくれてたのかな。
ふたりで手を繋いで、駐車場まで戻り、車で下山。
降り道もカーブがきつい。
「目が回りそう…。」
と、なんとなく伝えると。
休憩スペースに車を止めてくれた。
「車酔いはない?大丈夫?」
…彼はほんまにやさしいなあ。
「うん、大丈夫。落ち着いたから車出してくれて大丈夫やで。」
彼も、仕事も大変なのにほんとに嬉しいな。
きた道を戻り、実家の近くにまた車を止めてくれた。
「今日もありがとう、来年はどうしようか。」
「また連絡するわ、初詣もええな。年明けに天保山でワンピース展やるらしいから行かへん?」
「うん、行きたい!」
来年も会えるんが嬉しいな。
「ほま、また。良いお年を。」
「うん!良いお年を!」
車を見送り、家に帰る。
部屋に戻って着替えると、なんか一年の疲れも取れたみたいにほっとした。
数日後、彼から夜景の写真が届いて、そのまま年末年始に。
その時は初詣は行けなかったけど、ワンピース展に行く約束ができた。
また会えるのが楽しみだなあ。
やさしくしてくれてありがとう
むかしの話を参考に書きました。
今でも懐かしい記憶の片隅のお話でした。
続きがかけたらまた後日投稿します。