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裏路地探検を満喫した僕は、建物の屋根の上に飛び乗り、そのまま屋根伝いに街の外側まで行くことにした。
この世界は、街は大抵塀に囲まれている。高さは場所よってまちまちだが、魔獣や危険な生き物はたくさんいるから、街を守るために必然的に囲いが必要となるんだろう。
ここの塀の高さは10メートル近くあるだろうか。ネコになってから、ものの長さや大きさの感覚がつかめなくなった。だっていままでの1センチと、ネコになってからの1センチは違うじゃん?
とりあえずとても高く感じるその塀の上まで、音もなく一気に駆け登る。肉球と爪がいい仕事しますな。体のばねも大切よね。まあ僕の身体能力なら余裕です。
いやー、高いところってやっぱりいいね。こう、気分が高揚するというか、落ち着くというか、高いところにいるが自然っていう感じがするというか。
ちょっと強めに吹き抜ける風なんかも実にいい。日差しもぽっかぽかだ。
ごろん。背中を最大限に反らして盛大に伸びー。しばしその場でまったり。
姿勢を変えてまたまったり。すんすん。あっちの街とはまた違う、この街のにおいをいっぱいに吸い込む。
ああ、いいなぁこの時間。
思う存分日向ぼっこしたあとは、しばらく塀の上伝いにお散歩。尻尾が自然と立って、ゆらゆらする。
うーん、この辺もなかなか面白い匂いがするなぁ。なんか柑橘系の匂いがけっこう混じってるから、果樹園とかあるんだろうか。街中に?それとも街路樹とかにそんなにおいを放つ種類でもあるんだろうか。
お、鳥さんこんにちはー。
空を自由に飛べるっていいなあ。僕ももっと練習すれば、いつかは空を飛べるような魔術や魔法をつかえるようになるかな。エッちゃん先生の様子を見ると、さきはまだまだ遠そうだけど。
あ、街の門発見。ん?街の外側にある、遠くから見えていたアレ、牧場だったのか。なんかの生き物が囲いの中で飼われているようだ。門の近くなら管理しやすいねー、夜とかどうしてるんだろう?魔獣よけの香があるのは知っているけど、そういうやつで対策しているんだろうか。それとも見張りがつくのかな?
ふむ。
街の外、夜の姿とやらも気になってきたぞ。
とまあそんな感じで、この街についてから、2〜3日は街の外で過ごしてみた。
植物や生き物を観察したり、歩いている人たちをこっそり尾行して何をしているのか確かめたり、とりあえず歩き回って地形を把握してみたり。魔力を抑えているから、生き物を警戒させることもない。気配も消してるから、襲われることもない。いや、襲われたな、植物に。あれには驚いた。食われるかと思った。
昨日の夜には、森の中に光る花が一面に咲いている広場を見つけた。不思議なことに、しばらくするとその光が空へと飛んでいくのだ。どういう仕組みなんだろう。ちょんと鼻先をあててみたら、ゆらんと揺れたその花の中から小さな丸い光がふわんと浮かび上がる。
空一面に光が溢れて、とても綺麗だった。
こういう景色は、街の中にいるだけじゃ味わえないよね。
旅の醍醐味。
ん?
そもそも旅ってなんだろう。
目的がなくても、旅とは言うな。えーと、じゃあ、家があることかな。帰る場所があるのが旅。うん、きっとそうだ。
じゃあ僕は旅人ならぬ旅ネコじゃないな。放浪ネコ…流浪ネコ。るろねこ、とか?いいね、るろねこ。るろねこサブ。
カッツだけど。
まっなんでもいいや。
木々の葉擦れのざわめきや鳥の囀りに耳を傾けるのも癒やされる。が、そろそろあたたかくて柔らかなベッドも恋しくなってきたな。
そう思った僕は、丁度街の門から出てきた馬車(ここいらの場所は鳥車ではないらしい)にピョンと飛び乗った。だって魅力的な隙間があったんだもの。入るしかないでしょう。
さて、どこかの街で一時の家でも探そうかな。




