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「気にしないでほっとけ?ですか?」


「ええ、そうなのよ」


冒険者組合の受付職員が調べてきてくれた結果。

サブは放っておいて良いらしい。他には?ときいたけど、それだけだった。

わざわざ向こうの副組合長が出てきて教えてくれたらしいから、間違いということはないだろう。



さてどうしようか、とパルーは頭を抱えた。

サブは今のところ自分が世話をしているが、さりとて船の中にずっとおいておくわけにもいくまい。

ほっとく、と放り出す、はなんか違う気がするし…などと考え込んでいると、ヴァルックがパルーに声をかけた。


「おい、帰るぞ」

「え、バルさん、サブはどうする気ですか」

「ほっとけって言われたんだ、ほっときゃいいだろ」


え、でも、と渋るパルー。パルーは責任感が強い。拾った生き物は最後まで面倒見ないと、と思ってしまう。まぁ、飼い主は別にいるわけだが。その飼い主から放り出されているとなると、流石に心配だ。エッちゃんとやらは一体何を考えているのか。


「バルさんは心配じゃあないんですか」


突っかかるように言うパルーに対し、あのなぁ、と諭すようにヴァルックは言う。


「じゃあなんだ?下っ端の分際で船で面倒見るよう船長に掛け合うか?そいつの面倒をみる時間作れるのか?何かあったとき自分が何か出来るとでも思ってんのか、ガキが。」


畳み掛けられて、パルーは言葉に詰まってしまった。


「大体勝手に乗ってきたんだ、そのうち勝手に降りるだろうよ。お前が責任を感じること自体がお門違いだ。そもそもサブは一人で何でもできるだろうが。」


「…バルさん、あいつのことよくわかってますね」


なんだか悔しくて、そんな憎まれ口を叩いてしまう。世話をしていたのは自分なのに、自分はサブのことをちっとも理解できていない。世間を理解できていない。その事実にちょっと打ちひしがれてしまった。



落ち込んでいるパルーを見て、流石に言い過ぎたかと少々反省したらしいヴァルック。この男、物事をはっきり言い過ぎるきらいがあるが、嫌な人間というわけではないのだ。


「サブだって、お前が世話してくれてたのくらいわかってるさ。ただあいつは一人で生きていく力がある、そんどけのことさ。」




さてそんなしんみりしている二人を横目にサブは何をしているかというと。

じつはもうその場にいなかったりする。

二人が軽く言い争いをしている間に、足音もなく床に降りると、声もなくにゃーと一鳴き。踵を返して冒険者組合の外に出てしまっていたのだった。


ふたりがそのことに気付くのは、もう少しあとのことである。






さて。

船旅はなかなかに楽しかったけど、ちょっと人が多かったなー。一人になれる場所はそこそこ見つけられたけど、どこにいても結構騒がしかったからなー。次は落ち着いた場所がいいな。


パルー少年は騒がしくて構ってちゃんなのが玉に瑕だけど、一生懸命僕の面倒を見ようとしてくれた。お礼に魔石を一個鞄の中に突っ込んどいたけど、いつ気がつくかな。

それで病気がちなお母さんにお薬と、食べざかりの弟妹たちにお腹いっぱいご飯を食べさせておやりー。

換金すればそのくらいには十分になるはず。確か。多分。


まだ嗅ぎ慣れない街の空気を確かめるようにスンスンと鼻を鳴らしながら、僕は裏路地に身を滑りこませた。






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