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そしてエッちゃんは、あっけなく消えていった。



町中で消えると色々面倒だから、街の外へ出て、人気が無くなったところで道を逸れて。エッちゃんは僕の身体を一通り撫でくり回した。このゴッドハンドともしばらくお別れなのかと思うとちょっぴり名残惜しい。


声をかければ以前の通り反応するし、時々は顔も出す。期間は未定と言っても、ずっと戻ってこないわけでもない。

そう言うエッちゃんの顔は相変わらず麗しいけど、ちょっぴり寂しそうに見えなくもない。


エッちゃんも大変なんだね、頑張って。

じゃあ、またね。




僕はその場で丸まって、寝た。

久しぶりの一人静かな眠りに、僕の意識は深く沈んでいった。





「ただいま〜みんな〜」

「今すぐおまえの部屋にいくぞ」


久しぶりに帰ってきた私。その腕をがっしりと捕まえられ、不機嫌そうなガントレーに私はひきずられた。


「えーせっかくみんなにお土産買ってきたのに〜お茶にしようよ〜」

「そんなん後だ後!まったく、なんでこんな大事なときにあんたはいつもいないんだ!」


そう言いながら階段を登る足取りはなんだかやけに重そうだ。

ガントレー、寝不足そうだな。目の下のくまが凄いことになってる。今回の不在では何が起ったんだか。

いっつも大変そうだよね、ガントレー。まぁ僕が不在がちってのもあるんだろうけど、基本的にお人好しで世話焼きだからなぁ。厄介事に自分から首を突っ込んじゃうタイプだよね〜。



組合長室に入ると、ガントレーは一旦部屋の外へ出て、何枚かの書類を持ってすぐ戻ってきた。その間、買ったお土産をテーブルにひろげていたら、ガントレーは渋い顔をさらに渋くして、乱暴にそれらをおしのけた。ああっ雑に扱わないで!せっかく買ったクッキーが割れちゃうじゃないか。



広げられた書類にざっと目を通す。



「へー!エッチャンかぁ、変な名前!そんな名前だったんだ」


ガントレーの報告。それは、かねてから悩まされていた盗賊団の本拠地がわかったことと、その経緯で判明したある冒険者についてだった。


魔獣連れの冒険者、うん、覚えてるよ。出張の前に冒険者登録に来てたから報告は聞いてた。そのときは魔獣、しかもカッツ連れなんて珍しい、って思っただけだったけど。


「で、そのカッツが魔獣王だったと」


「そうなんだよ!!」


盗賊団の一部のバカがそのカッツを捕まえようとして、昇級試験中にエッチャンに接触を試みて、で冒険者組合に捕まったと。その際、冒険者の連れたカッツのせいで、森に生息している魔獣たちが一時恐慌状態に陥ったが、住民に被害はなかったと。ふんふん。

どうやら護衛のつもりで付けていた組合員が、カッツを怒らせてしまったらしい。他にも尾行者はいたけど、何人もの人間に尾行されてイライラしてしまったと冒険者は供述していた、と。


なるほどね。

で、事情を聞いてるときに判明したのが、そのカッツがリファーカの魔獣王だった、と。

うーん、エッチャン、何者なんだろうね?



ちょうど今回の出張でもその話は出てた。リファーカの魔獣王が生息地から姿を消したって。

学会では大騒ぎになってて、まずは行方を探すのが先決だってなって結論が出てたけども。


「まさかこんな近くにいるとはね〜」


ひとまず、捕らえた盗賊は引き続き情報を引き出すとして。

本拠地に踏み込むのも早いほうがいいなぁ。結構被害出ているしね。



しっかし、ううーん、どうしようかなぁ。

「タマサブロウ、ねえ」



学会に報告すべきか、否か。

尻尾は1本だったというが、本物かな?

というか、これ魔獣王の本名なんだろうか。





ふぁぁぁあ、よく寝た。

さて、何しようかな。




そういえば、せっかく港町なのに、船に乗ったことなかったな。

ちょっくら港までいってみようかな。

うん、のんびり行こう。

せっかく街の外へ来たけど、また戻るか。


日が落ちてきて、遠くに薄闇が迫ってきている。


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