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はーいおつかれさまでーす!
そんな元気な声に迎えられて、僕とエッちゃんは冒険者組合カウンターにやっと来ることが出来た。
ちゃんと8級の冒険者っぽく、森の中を歩いてきたからめっちゃ時間かかったよ。走ったらすぐなのになー。
「はい、確かに。これで7級冒険者への昇級が認められました、おめでとうございます。」
受付のお姉さんが、明るく笑いかけてくれる。癒されるなあ。
「この後、7級昇級試験合格者向けの説明会がございます。その前に、冒険者プレート作成の準備をしますので、こちらのペンをお持ちください。」
渡されたペンは、なんだか不思議なインクの色をしている。
「では、こちらに氏名のご記入をお願いいたします。エッちゃんさんの場合は魔獣を連れているので、魔獣の名前もお願いいたしますね」
と渡された用紙。ふむふむ、名前だけ書けばよいのね。冒険者登録したのがこの町になる、と。
というか、エッちゃんの名前どうするん?
今まで、冒険者組合でも「エッちゃん」で通してきたエッちゃん。これは僕がつけたあだ名で、本名じゃない。
どうするん?そもそもエッちゃんにお名前あるの?
(まあなくはないんですがね、面倒なので適当な名前を考えますよ)
そんなんでいいのか。
で、何て名前にするの?
さらさらさらーと用紙に書き込むエッちゃん。ちなみに僕は文字が読めるよ!前エッちゃんが言葉をわかるようにしてくれた時に、文字も読めるようにしてくれたからね!
カウンターの上に飛び乗って、エッちゃんが用紙に書き込むのを見ていたら。
「ん゛なぁっ」
エッちゃん!名前「エッチャン」にしやがった!
まじか。あくまでエッちゃんで通す気だ。
(だってサブが考えてくれた名前ですからね)
いやあ、確かにそうだけど。
偉い人略してエッちゃんだよ?いいの?いいんだ?
いいんだー…。
ちなみに僕はタマサブロウでした。語尾は伸ばさないよ。
「は…い、確かに。承りました。」
受付のお姉さん、用紙を二度見して、エッちゃんの顔を見て、眩しそうに顔をそらして、また用紙を見た。ほらー、受付のお姉さんも動揺してるよ。ぜったいそれ本名だったのかって思ってるよ。
こほん、と咳をした受付のお姉さんは、気を取り直して説明を続けるようだ。
「エッチャンさんの場合、冒険者プレートが2枚支給されます。片方はご自身でお持ちいただき、もう片方はお連れの魔獣につけてください。冒険者プレートを付けていない魔獣は誤って攻撃されても咎められませんのでご注意ください」
はーい。
「ではこちらはお預かりします。もうすぐ説明会は始まる予定ですので、お近くにてお待ちくださいますようお願いいたします」
うっかりエッちゃんの名付け親になってしまった。
まぁ、いいか。間違えることないし。
近くにあった椅子に腰かけて、エッちゃんが手帳を取り出した。何かメモしてる、と思ったらすぐにぱたんと閉じてしまった。こっちを見て膝をポンポン。はいお邪魔しますねっと。
(疲れたふりをしますんで、しばらく膝の上でおとなしく丸まっていてください)
はーい。
大体10分くらいたっただろうか。
「7級昇級試験合格者の方々、これより説明会を行いますので、第3会議室にお集まりください」
冒険者組合の人の声が聞こえた。目を開けたエッちゃんは、重そうに腰を上げて(もちろんフリだ)、説明会場のほうへ歩いていく。僕はどうしようかと思ったが、そもそも僕が聞かないと意味がないんだった。エッちゃんに抱っこされながら、会場の中に入った。
周りからの視線が痛い。まあ仕方ない、ちょっとした有名人だからね、僕とエッちゃんは。それに僕可愛いし。ほら周囲から「可愛い」とか「触りたい」とか聞こえてくる。
エッちゃんも視線を集めてはいるが、僕ほどではない。周りはほとんど子どもだ、美形よりもかわいいに人気が集まるのは仕方ないね!
ちなみに説明役であろう冒険者組合職員の方は、僕らのほうをなんだか恐ろし気に見てくる。なんやねん。かわいいは世界共通だというのに。何かしたかオラ。
(ほらほら荒ぶらない。しょうがないでしょう、私たち明らかに7級レベルじゃありませんし)
そういわれればそうねー。
「はい、それでは皆様。7級への昇格、おめでとうございます。この説明会は、冒険者の基本的事項を説明するためのものです。ご質問がある場合はいつでも受け付けますので、説明の途中でも挙手にてご質問いただいて構いません。説明会が終わりましたら、順番に冒険者プレートをお渡しします」
んー、説明会の間にプレート作るのか。そういやそんなこと受付のお姉さんも言っていたような。
説明は、僕でも知っている基本的な内容がほとんどだった。7級になって変わったことは、8級では利用できなかった一部の施設が利用可能になったこと、6級への昇級試験の時期と簡単な内容、パーティが組めるようになったことくらい。
んー、ちょっと面倒な予感。おわったらさっさと宿に帰って、明日さっさとこの街とおさらばしたほうがいいかも。
30分ほどの説明会が終わって、冒険者プレートの支給を待っている間。
「おいちょっと、そこのカッツをつれた冒険者」
はい面倒事きたー。
「魔獣連れの冒険者プレートは他とちょっと違うんだ、俺から説明させてもらう」
おっ、この人、よく僕を愛でてくるいかつい職員さんだ。
「おれば冒険者組合副組長のガントレーだ。まあ名前は知っているとは思うが。エッチャン、サブ、ちょっとこっちにこい」
副組合長とな、偉い人だ。
んんんー--、行きたくない。




