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魔獣とはなにか。


この意見については、研究している学会の各派でも大きく意見が分かれている。

一定以上の身体の大きさを持つ生き物は、大抵何らかの魔法を使い、体内に魔石を持っている。故に、ざっくりと身体の大きさで判断すべきとの意見。細かい区分は逆に混乱を招く、というのがこの会派の主張。


進化の過程で体内に魔石と呼ばれる物質を作り上げてきた種が、魔獣であるという意見。

同じ種でも魔石を持っている・いないのケースがあるから個別に判断すべきとの意見。

同じ会派の中でも意見が割れていることも多い。


魔石にこだわらず、何らかの魔法を使うのなら魔獣と判断すべきとの意見。そう、一部の生き物に、解剖しても魔石はないのに魔法を使う生き物がいるのだ。


魔法が先か、魔石が先か。

それをまず論じるべきであり、魔獣について定義をするのはそれからだという意見もある。


今日も、各派が納得の行く結論は出ていない。




魔獣の中でも別格とされ、その生態が謎に包まれている、通称「魔獣王」。現在、世界各地に数匹その存在が確認されている。

あまりにも大きな力を持ち、近付くことが危険なため、精々遠くから観察する事くらいしか出来ない。

発生理由も、生態も、予測がつかない。魔獣王毎に種も異なり、かつ同じ種であるとみられる魔獣の個体とも違いが大きく、比較自体が困難。寿命もよく分かっていない。

ただ、何か起きた時の影響が甚大なため、常に警戒に当たり、周辺地域への対策も怠ることはできない。

歴史を見てもその教訓は明らかである。



そして今日、魔獣王について研究している研究員の一人が、頭を抱えていた。

(リファーカの魔獣王が、消えた、だと?!)

魔獣の生態調査を専門とするその男の名は、ヌーヴェと言う。ここ数年、リファーカ大陸南部の大山脈に生息している魔獣王について担当していた。といっても、定期的な観察報告に目を通すくらいしかやることがなかった。

なんといってもリファーカの魔獣王は、よく寝る。ひたすら寝る。たまに周囲を歩き回ることもあるようだが、とにかく寝ている。

だから、ヌーヴェはやることがないのだ。


ここ最近、少々騒がしいことが起きていたのは把握していたがが、特筆すべき事はなかったはず。

(魔獣王の移動は過去何度か発生しているが、消えるというのは聞いたことがないぞ!寿命とみられる兆候もなかったはず!)


ヌーヴェは、報告書を作成した観察隊員に会うために、足早に建物の外へ出ていった。





はーい、こちらタマサブローです。


魔力操作、うまくいっておりません。


尻尾で光らせようとすると、尻尾2本とも光ったり、一本だけどめちゃくちゃ眩しく輝いたり、何故か鼻が光ったり、背中が光ったり。お尻が光ったときは、蛍になった気分でした。

目的の場所に魔素を集める、て難しいよ……。

只今休憩中です。にゃふん。



そういやさー。

前にエッちゃん、魔力操作を覚える理由で、念話以外の理由も言ってたよね。見た目が目立つとか。あれってどういう意味?


「ああ、それはですね」


休憩中の僕の身体を弄びながら(語弊)、エッちゃんがニコニコしながら言った。幸せそうだなぁ。


「今のあなたは、気配と見た目を私が誤魔化しているんですよ。それを自分でやって欲しくて」



え、そうなの?

あ!あれか、尻尾が2本とか言ってたやつ。ふつうは1本なんだっけ。


「そうです。カッツの尻尾は1本なんですよ通常は。場所や状況によっては私の魔法が途切れてしまう可能性も無くはないですから、自分で見た目を操作できるようになっていただきたいのです」


それに、観測手には自分の事は自分でこなせるようになって欲しいので、と付け加えるエッちゃん。

そりゃそうよねー。

エッちゃんがいつまでも張り付いているなら、観測手としての僕必要ないよね!エッちゃん自分で観測できるから。



そうですよ、私も忙しいんです、と言いながら僕のおなかに顔をうずめたエッちゃんの鼻息がうるさい。

……忙しそうねー?



「大体、2本の尻尾のカッツなんて、リファーカの魔獣王として有名ですからね」




ま、まじゅうおう?

魔獣、王?

なんじゃそりゃ。




現在この世界には、人間たちに「魔獣王」と呼ばれている魔獣が存在しているらしい。

で、僕もその一匹なんだってさ。「リファーカの魔獣王」って。

あんまりよく覚えてないけど、僕めっちゃ長生きしてるから、古くからいる魔獣王として有名らしい。


といっても、その存在は謎に包まれているんだとか。

いつも寝ているから、観察しても何もわからない。ただ、その身に秘める膨大な魔力が、気配に敏感な生き物を寄せ付けないことだけは分かっている。

他の魔獣王たちと違って、今までその生態や行動によって災害を引き起こしたことがないため、定期的な観察以外は特に何もせずに放置している、というのが現状のようだ。


他の魔獣王たちは、場合によっては天候が荒れて干ばつや豪雨をもたらしたり、森が生い茂りすぎて人里を侵食したり、など人間たちの生活に大きな影響を与えてきたらしい。

そりゃ警戒するわな。



んで、僕の話に戻ると。

エッちゃんによって観測手に任命されて、その後エッちゃんが先生兼旅のパートナーになった瞬間から、僕の気配をごまかし尻尾を1本に見せかけてきてくれたらしい。認識を阻害する系の魔法だとか。その魔法を、エッちゃんはかけ続けてくれているんだって。


「だって魔獣王がその辺歩いているなんて知られたら、のんびり旅なんてしていられないじゃないですか」


いま、のんびりって言ったね?やっぱり忙しいってのは嘘だね。











生まれてきたんだ猫の惑星にッ

わかった人もわからなかった人も仲良くしてください

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