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さーて、これからどうするかね。
あの子も無事に預けられたし、久々の自由だ!
エッちゃんは何かしたいことある?
「私はただの旅のお供兼先生。ですので、やることは基本的には観測手であるあなたに決めて頂きたいんですがねぇ」
そう言われればそうか。観測手。かんそくしゅ。
あの子のことは観測していたといえばそうなるのかな。
何をどう観測するかは自由。というか何をやっても自由。自由って案外不自由よねー。人って不自由の中で自由を見出すことが出来るとかいうけど。適当よ適当。
まぁ、エッちゃんは旅のパートナーですし、何かリクエストがあれば都度教えてくれい。
じゃあ一先ずなにしよっかなー。
「僭越ながら、早速一ついいかな?」
エッちゃんが、腕の中にいる僕の背中をなでなでしながら言った。あ、尻尾は今はヤメロ。べしっ。
「魔力操作を覚えましょう!」
ん?
なんか中二ワードが聞こえたような。
「魔力操作ですよ、間違ってません」
んん?魔力操作とな。魔力とは?
なぜにそのようなことを、先生?
「あなたのその目立つ格好と、私が常に独り言状態なのを何とかしたいんですよ!」
魔力操作を覚えて、独り言解消……。
あ!あれか、念話みたいなやつが出来るようにしたい、ということですね!喋らなくても会話できるやつ。前までエッちゃんとやってたよね。
「その通り」
あーなるほどね。
確かに、小声でブツブツ喋ってるのはいくらイケメンでも怪しいもんねー。猫に話しかけてるの?ぼっち?愛猫家が過ぎる?
ぷぎゃん。エッちゃんに鼻ツンされた。
エッちゃん曰く、分体だと、以前やってた、頭に直接話しかけるヤツは出来ないらしい。でも、この世界の魔法で念話があるということです。ほーん。で、その魔法をエッちゃんは出来るけど、相手も出来ないと意味がないと。ほほーん。だから念話の魔法を覚える、為にまず魔力操作と。
成る程把握した。
「あとその見た目ですね」
エッちゃんが僕の身体をなめ回すように見てる。いやん。
「言っときますけど、この世界に『猫』はいません。その見た目の生き物は、カッツという種族にとても近いです。但し尻尾は2本ではなく通常1本ですが」
なんですとーーーー!!!!
なんとこの世界、猫はいないらしい。
世界から猫が消えたなら……いや猫は消えてしまった……いや存在していなかった。
猫のいない惑星かぁ……。
空から見下ろしても黒猫と目が合うことはないのかぁ……。
衝撃の発言から暫くして。
とりあえず、魔力操作の練習をするという方針になった。
場所はどこでもいいらしいけど、独り言が嫌なエッちゃんは人がいないところで授業をしたいらしい。
「あの子を孤児院に預けるために、ここでは姿を見せてしまいましたからね。町の外に出たいんですよ」
なんとエッちゃん、姿を消す事も出来るらしい。これも魔法か?
今回は実体を伴って検問を通過した以上、町を出る際にまた検問を通って記録を残しておかないと不自然だ、ということだそうだ。そういわれりゃその通りねー。
あとさー、あの孤児院の関係者らしい人が後をつけてきてるんだよねー。いきなり消えるのよくないよねー。
「おや、気付いていましたか」
そりゃ気付くよ!聞こえるし、めっちゃ臭うよ。猫の嗅覚スゴいんだから。
で、どうしようか。
「ですから方針は基本的にあなたに決めて頂きたいと言っているのですが……」
まあまだ常識もわからないなら仕方ないですね、と呟いて、エッちゃんは歩きだした。
まずは買い物です、身なりを整えて冒険者登録しましょう、とな。
冒険者登録って何?
エッちゃんによると、要は何でも屋さんらしい。詳しくは後で、ってさ。
ちぇ。まいっか。不審者は避けねば。
あっ鼻ツン禁止!しゃー!!
ねこ(カッツ)を連れた冒険者。冒険者なら、町を出たり入ったりしても不自然ではない。
適当な宿をとって、簡単な依頼を受けて、町の外へ出て魔力操作のお勉強、と。なるほどぉ。
まずは武器、使わないだろうけど買う。見た目から冒険者とわかるように、典型的な装備を整える。
靴、バッグ、ナイフ、マント、エトセトラエトセトラ。
冒険者向けの店だと一度に色々揃いますよ奥様。便利よねー。ホームセンターでテンション上がる系だった僕、お店の中を見ているだけでちょう楽しい。
あと、僕の首輪も買った。見知らぬ人に連れ去られないように、飼い主の魔力登録をした、飼い主以外にはずせないやつ。お高い。お高いよぅ…。
ねこって骨ないですよね…なんか、どぅるんって感じ(伝われ)
犬は背骨ゴツゴツ感じるんだけどねー。




