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17 勇姿 【Side.ビニール仮面】


「変身……」


毒による息苦しさを抑えるために、左手を胸に当て遠のく意識の中、藁をも掴む思いで『あの言葉』を呟くと()()は起こった。


左手に持っていた魔石が輝き出したのだ。

それと同時に意識がハッキリとして、背中の痛みがなくなると、力が身体中にみなぎった。


そして、魔石がアスカの胸に吸い込まれると、眩い光に包まれた。


(何だこれは?そうか俺は死んだのか……いや、景色が変わらない。洞穴だ。蜘蛛がいる。これはまさか!)


光が弱まると、そこにはイセカイザーに変身中のアスカがいた。

未だ体中が発光していて、どのような姿かは分からないが、シルエット的にゴキブリではない。


「変身出来た!力もみなぎってくる!これなら勝てる!準備よし!」


アスカはデーモンスパイダーを睨みつけた。


「I’m ready!」


デーモンスパイダーは8本の足を縮め、体に引き寄せた。


「それで防御のつもりか!行くぜっ!」


地面を蹴って駆け出すと、『ドンッ』という音と共に、地面が足の形にへこむ。

とんでもない速さで進み、目の前にデーモンスパイダーが急接近してきた。


「うわっ!ぶつかるっ!ブレーキ!」


両足でブレーキを掛けたが、地面を削りながらも止まらず、デーモンスパイダーをそのまま轢いてしまった。


ーテレッテレッテ〜ツクタンジャジャ〜ンジャン

『レベルが上がった』ー


「か、勝った…夢なら覚めないでくれ〜!」


両手を上げて天井を仰ぎ勝利の雄叫びをあげた。


変身した興奮と、デーモンスパイダーを倒した喜びで、頭の中で流れた曲など、全く気にも止めなかった。


「ハァハァ。ステータスオープン」


ーーーーーーーーーーー

名前 : 一色 飛翔

種族 : 人間

分類 : 異世界人

属性 : 異属性、幻属性

年齢 : 20

性別 : 男

職業 : 変身ヒーロー

名称 : イセカイザー〔ピンク〕

Lv :3

HP : 35/35〔200/350〕

MP : 29/29〔290/290〕

攻撃力:40     〔400〕

防御力:35(+6) 〔350〕

素早さ:32     〔320〕

知 能:26     〔260〕

器用さ:31(+ 20)〔310〕

幸運値:14(+10) 〔140〕

装 備 : 地球の服(防御力+1)、地球のズボン(防御力+3)、地球の靴(防御力+2)

〔鞭〕:なし

アクセサリー :ブレスレット(器用さ+10)、ブレスレット(器用さ+10)、イヤーカフ(幸運値 +10)      

スキル : 言語理解、ナレーション、アナライズ、体術Lv1

ユニークスキル : 変身〔誘惑〕

ーーーーーーーーーーーー


「おぉ!レベルが2上がってる!HPは全快して、毒も消えてる!これは変身したからだな!

スゲェ!HPのMAXが350。と言うことは150減ってるな。ダメージを受けてないのにどうして?」


アスカは腕組みをして、ウインドに顔を寄せた。


「うおっ!MPもMAX290。これは……10倍か!女神に俺が言ったまんまだな……しかし、数10倍って言ったのに、10倍って一番少ない値だし。嫌がらせが過ぎませんか?」


そこでアスカは、名称の欄を二度見した。


「えっ?は?括弧ピンクって何だ!?」


慌てて自分の体を見た。

淡く輝いていた全身の光は消えていた。


アスカはまさかの、眩ゆいばかりのピンク色になっていた。


「ピンクはないだろぉ〜!」


しかし良く見ると、肩や胸元、肘、腰回り、膝、ブーツには薄いピンクの鋼鉄のアーマーが付いていて、以外と格好よかった。ブレスレットの金色が良いアクセントになっている。


「顔が見えないな」


鏡がないので確認できないが、触った感じでは悪くないようだ。


だが、再度体を見直してとんでもないことに気付いた。


「何ぃ〜〜!」


格好良いと思っていた鋼鉄の腰のアーマーは、なんと、スカートの形をしていた。しかも、超ミニ。

スカートの下に、ピンクのズボンを履いているのが、せめてもの救いだ。


しかし極め付けは、胸元のアーマーである。

それは変な形に膨らんでいた。


「おっぱいだぁ〜(涙)」


アスカは両手で胸を隠すように抑えて、天を仰いだ。


「夢なら覚めてくれぇ〜!」


『キュ〜』


「そうだ!狐!」


咄嗟に振り向き、狐の元へダッシュした。

しかし一瞬で狐の目の前まで移動していた。


「ヤベッ!今度は間に合え!!」


地面に足がめり込む程ブレーキをかけた。

ガガガガッと、もの凄い砂埃を巻き上げ、狐の目と鼻の先で止まる事に成功した。


「慣れないな。無駄に速い!今度はブレーキが間に合ってよかった。今助けてやるからな!小石が当たったが許してくれ」


そう言うと、狐は安心したのか目をつぶって動かなくなった。

決して石が当たったからではない…


アスカは急いで蜘蛛の糸を取り外し、狐を助け出した。


「息はしてるみたいだが、マズいな」


衰弱した狐を抱きしめて、入り口を目指していると、狐が突然淡い光を放った。

しかしそれと同時に、アスカは自分の体に違和感を感じた。


「なんだ?力が抜けたような…ステータスオープン」


ーーーーーーーーーーー

名前 : 一色 飛翔

種族 : 人間

分類 : 異世界人

属性 : 異属性

年齢 : 20

性別 : 男

職業 : 変身ヒーロー

名称 : イセカイザー〔ピンク〕

Lv : 3

HP : 35/35〔200/350〕

MP : 29/29〔 90/290〕

攻撃力:40     〔400〕

防御力:35(+6) 〔350〕

素早さ:32     〔320〕

知 能:26     〔260〕

器用さ:31(+ 20)〔310〕

幸運値:14(+10) 〔140〕

装 備 : 地球の服(防御力+1)、地球のズボン(防御力+3)、地球の靴(防御力+2)

〔鞭〕:なし

アクセサリー : ブレスレット(器用さ+1)、ブレスレット(器用さ+1)、イヤーカフ(幸運値 +1)      

スキル : 言語理解、ナレーション、アナライズ、体術Lv1

ユニークスキル : 変身〔誘惑〕

ーーーーーーーーーーーー


「HPに続いて、MPが200も減ってる!」


アスカは軽い目眩を覚え、左手で側頭部を押さえた。


「ど、どうしてHPもMPも減ってるんだ?」


『説明しよう!

変身後のHPとは、ヒーローポイントの略である。スキルはヒーローポイントを使用して発動する。そして、ダメージを受けてもヒーローポイントは減っていく。ヒーローポイントが0になると、変身が強制的に解除されるのだ!そしてMPは九尾に吸われたのだ!』


(ヒットポイントじゃなくてヒーローポイントだった!MPは九尾に吸われたって……この狐のことか?)


「鞭は?」


『説明しよう!

鞭を装備することができる』


「分かるわ!誘惑は?」


『説明しよう!

誘惑することができる』


「想像できるわ!使えねぇ…ところで何のスキルを使ったんだ?」


『説明しよう!

誘惑である』


「使ったつもりは無いのに」


アスカは狐を見て、スキルを使用した。


「アナライズ」


ーーーーーーーーーーーー

名前 : ー (魅了)

種族 : 九尾

分類 : 聖獣

属性 : 聖属性

年齢 : 9

性別 : 雌

Lv : 9

HP : 99/99

MP : 49/99

攻撃力:9

防御力:9

素早さ:9

知 能:9

器用さ:9

幸運値:99

装備 : なし

スキル : 噛み付きLv3、引っかきLv2、聖魔法初級Lv1、エナジードレイン

ーーーーーーーーーーーー


(魅了してるし…全快してるみたいだけど、何で?)


「九尾はどうして回復してるんだ?」


『説明しよう!

九尾はMPを吸収することで、HPを回復することが出来るのだ!』


「そうか!スゲェな!」


『キュ〜』


九尾はとても嬉しそうに、アスカに頬擦りをしている。よく見ると、黒目の中に薄いハートが見える。そして尻尾が二本あり、先の方がそれぞれ白と濃いピンクになっている。


(あれ?尻尾二本あったっけか?)


「お前可愛いな。一緒に行くか?」


『キュ〜』


イセカイザーピンクのMPを吸収して全快した九尾は、嬉しそうにひと鳴きするとアスカの左肩に乗った。


「そうか。だったら名前を付けないとな。キュウビだし、鳴き声もキュウで、ステータスも全部9だから、キュウでどうだ?」


『キュ〜』


「そうか、よろしくな!」


「しかし…なぁキュウ。どうやったら変身解除できるのかな…」


『キュ〜…』


こうしてアスカの、縛りがエグい異世界を歩む旅の幕が、切って落とされた!



『イセカイザーの驚異的な力で窮地を脱したアスカ!新たな仲間との旅が今、始まった!

ネーミングのセンスは、ひとまず置いておこう!

そして!変身したいと言いつつも、次に出た言葉は変身解除!

行けアスカ!

愛と勇気と我がままな戦士。イセカイザーピンク!

次回予告

仲間』


「おいおい、変身の解き方を教えてくれよ……しかも最後のは悪口だぞ!」

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